経済・社会

2022.10.14 09:00

ゴミ大量流出 牡蠣養殖の裏側で起きていること

日本を含む世界中で広く食べられている牡蠣。2020年の牡蠣類の養殖収穫量は国内だけで15万8900トンに上り、生産量1位の広島県は9万6000トンにもなる。

そんな人気のある牡蠣だが、養殖する過程での環境汚染が深刻な問題になっていることを知っている人はそう多くはない。

今回は、牡蠣養殖のプラスチックパイプが引き起こす問題を見ていこう。

牡蠣の養殖パイプが流出


牡蠣養殖用のプラスチック製パイプは、種苗を付着させるホタテ貝を筏から吊るす際、一定の間隔を確保するために使用される。

広島湾だけで、使用される牡蠣パイプの数は2億本以上と推定されている。それらのパイプが事故や破損によって漂流し、漂着ごみとして問題になっているのだ。

瀬戸内海に接しているほとんどの地域で、牡蠣養殖用のパイプの漂着が確認されており、悪臭で人間にも悪影響を及ぼしている。

プラスチックの分解にかかる時間




自然環境に放置されたプラスチックは、分解されるまでに400年〜1000年以上かかると言われている。

微細な破片にはなっても、完全に分解されることはない。目に見えないほどの小さな「マイクロプラスチック」となり、海や川、そして大気中を漂い続けるのだ。

マイクロプラスチックは有害な化学物質を吸着しやすい性質があるため、マイクロプラスチックを誤飲した魚を食べることで、私たちが健康被害を被る可能性も指摘されている。

養殖パイプの回収制度


牡蠣のプラスチックパイプを回収する取り組みも進んでおり、広島かき生産対策協議会は500円/5kgで買い取っているそうだ。

広島県のカキ養殖業者が漂着パイプを回収した際には、その量に驚いた方も多かったようで、排出者側の認識の薄さが問題を大きくしていると考えられる。

牡蠣養殖をサステナブルに




開発が進められている生分解性プラスチックのパイプは、従来のパイプより分解が早いとされており、問題の改善に一役買う可能性がある。しかし、2019年時点ではまだまだ課題が多く、実際に使用できる状態ではなかったそうだ。
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文=エシカルな暮らし編集部

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