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2022.10.08

プログリット岡田祥吾、上場引き寄せた「脱サークル」決断の理由

プログリット代表取締役社長の岡田祥吾(撮影=曽川拓哉)


当時からIPOを視野に入れていたこともあるが、ミッションやビジョンの変更など改革を進めていく。

「サークル的な楽しい雰囲気が漂っていた社内に、部活動のような厳しさを取り入れました。楽しいことはいいことですが、事業を伸ばすためには厳しさも必要だとも感じていたんです。目標を高く設定することをメンバーに求めるなど、厳しさを要求したことで、辞めてしまう人もいました。それでも、あのときの判断は間違っていなかったと思います。甘くなり始めていたコストへの意識も高めることで、上場への土台が作れました」

ところが、暗雲が立ち込める。

ターニングポイント3 単一ビジネスから脱却


2020年春にコロナ第一波が襲来。人同士の接触が制限され、海外出張がなくなり、英語を学習したいというニーズそのものが消えた。

当時はほとんどが対面でのコーチングだったため、すぐにオンラインの体制を整えたものの、新規の契約が減り、設立以来初めて売り上げが前年を下回った。一時は12校あった校舎の、一部閉鎖を余儀なくされた。メンタルを病んでしまうメンバーも出てくるなど、暗黒期へ突入した。

「外部環境で全てが落ち込んでしまう単一ビジネスの怖さを思い知り、ポートフォリオ・マネジメントとしてもう1つ事業の柱を作ることにしました」

それが、英語のリスニング力向上に効果的な「シャドーイング」特化型サブスクリプションサービス「シャドテン」だ。

「当サービスも、当社の原理原則『英語力を極限まで伸ばす』取り組みの一環です。『英語コーチング』より利益率が高く、右肩上がりで伸びていて、最初から黒字化しています。

設立当初からプログリットは、『利益を出せるビジネスモデル』にこだわってきました。エクイティ(返済義務のない投資)はあまり行わずにデット・ファイナンス(融資)メインでIPOまで事業を伸ばしてきました」

コロナ禍をきっかけにコスト意識が高まった点も、IPOの土台作りに寄与したという。

「PL(損益計算書)上はすべて同じに見える数字も、交通費の定期券代まで見直すなど、投資と浪費を分けて見るように。このおかげでかなり筋肉質な体質になり、IPOに向けた自信が付きました」

岡田祥吾
オフィスの壁面には、社員たちが手書きで記した想いが並ぶ

IPOを果たして間もないプログリット。英語力を極限まで伸ばす英語コーチングを通じて「世界で自由に活躍できる人を増やす」ための挑戦は、まだまだ始まったばかりだ。

関連記事:創業3年で売り上げ17億。プログリット岡田祥吾の覚悟 #30UNDER30

文=山岸裕一 編集=露原直人 撮影=曽川拓哉

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