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2022.10.08

プログリット岡田祥吾、上場引き寄せた「脱サークル」決断の理由

プログリット代表取締役社長の岡田祥吾(撮影=曽川拓哉)

IPOした起業家たちはどのようなターニングポイントを経て、事業を成長させてきたのか。本連載「IPO起業家の 私たちが飛躍した瞬間」では、上場を手繰り寄せた「飛躍」の出来事と起業家の意思決定に迫る。

第3回目は、9月29日に東証グロース市場に上場したプログリット代表取締役社長の岡田祥吾(おかだしょうご)。2016年に創業後、英語コーチングサービスを開始し、累計受講者は1万3000人に達した。本田圭佑氏のテレビCMでも話題を呼んだ。

「日本人の英語力が一向に上がらない」と言われるなか、英会話スクールに支払っている総額は年間約1800億円にも及ぶ。その課題に対し、プログリットが実践するのは、専属コンサルタントが自習の方法をコーチするというもの。「英語を教えない」のがミソだ。

上場初値は1180円で、終値ベースの時価総額は約45億円。9月に発表した四半期決算では、2022年8月期(予想)の売上高は22億3900万円(前期比113%増)、純利益は1億8600万円となる見込み。

そんなプログリットを上場に導いた岡田に、

1. 創業前〜創業1年目
2. 創業3年まで
3. IPOまで

この3つの期間におけるターニングポイントとその際の意思決定について聞いた。


ターニングポイント1 エンジェル投資家との出会い


岡田は、大手外資系コンサルティング企業、マッキンゼーでプレゼン力を磨き上げてきた。しかし起業準備中にぶつかった壁は、そのプレゼンが通用しないことだった。実は当初、事業計画を進めていたのは「家事の代行サービス」。

「当時25歳だった私が大企業の役員を相手にコンサルとしてプレゼンをすると、皆さん話を聞いてくれるんです。ところが、起業家として資金調達のために事業プランを投資家に持っていくと『面白くないね』と、一蹴される。プレゼンがことごとく刺さりませんでした」

1円も投資を得られず、共同創業者で現在プログリット副社長の山碕峻太郎(やまざきしゅんたろう)と話し合った結果、家事代行の計画を撤廃。これが「英語コーチング」を生み出すきっかけになった。

「山碕と話し合った結果、家事代行の事業に対して、自分たちは情熱を持てていなかったと結論づけました。コンサルの延長で、フレームワークから導き出した『儲かりそうな事業』として選んでいました。社会を変えたい、という想いが事業プランの中にはそもそもなかったんです」

そして、自分たちが情熱を持てることとして、「英語」を選ぶ。
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文=山岸裕一 編集=露原直人 撮影=曽川拓哉

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