研究者たちは「報道内容には明確な違いがあった。FLW(食品ロス・廃棄、food loss and waste)問題が組織的・政治的に広く支持される問題として報道される一方で、食生活の変化は利害関係者の間でも論争が続く個人的な問題として扱われている」と指摘した。
このテーマを研究している科学者たちにとって、食生活の変化は食品廃棄物以上に議論の余地がなく、緊急性の高いテーマだとフライ助教授はいう。私は彼女に、食生活が環境に与える影響は(温暖化の原因について気候科学者の間でコンセンサスが得られているのと同じくらい)科学者の間でコンセンサスが得られているのかと尋ねた。
「それは大切な質問です、私の知る限りまだ結論は出ていません」と彼女はいう。「しかし、文献を調べる限り、食生活、環境フットプリント、気候、資源利用を研究している科学者たちは長年にわたって同じ結論に達しており、証拠はますます補強されています。アグリビジネスと密接に働いている科学者の中には、違う答えを返す人もいますが、これは彼らの専門外の話なのです」
バランスを欠いた両論併記は、業界の代表者がジャーナリストと消費者の双方を混乱させることを可能にするかもしれない。また研究は、ジャーナリストが食生活の変化を個人の選択肢だと扱うことで、変化の重要性を矮小化していると述べている。
「現在の食生活のパターンは企業の決定や政府の政策に大きく影響されているにもかかわらず、食生活のシフトはしばしば非常に個人的なものと見なされている。こうした個人の末端における取り組みは、現在のニュース報道によって強化されており、肉の消費を減らすための行動の主な負担は個人に課されている。食肉および酪農消費の減少にともなう経済的変化は否定的に捉えられており、たとえば食肉および酪農生産者が別の種類の食品生産に移行するのを支援するプログラムの開発、外部環境へおよんだコスト / 害に生産者が対処するよう強制する取り組み、または動物性食品への課税といった潜在的な解決策は、研究者の間で注目が高まっているにもかかわらず、一般的には議論されていない」
また研究では、より責任あるジャーナリズムへの道筋も示唆されている。研究者たちは、新聞による気候の取り上げ方の変化を記録し、それが一般の人々の認識の変化と一致していることを指摘している。
「最近になって、メディアが気候変動を結論が出ていない議論としてとらえることをやめ、『気候変動否定論者』の引用が減り、その立場が否定的にとらえられるようになったことが調査で明らかになった。さらに、気候変動が公衆衛生の問題として新聞に取り上げられることも多くなっている。これらの劇的な変化は、気候変動に関する世論の変化と同時に起きたものであり、メディアの報道が支配的な世論に対する影響を与え、また逆に影響を受けた例と考えられる」
(forbes.com 原文)