こうしたリストは「攻略リスト」というよりは、むしろ「今、何が優れているか、何が流行っているか、何が人気なのか」ということをまとめたものなのだ。
こうした評判の高い、よく調査されたリスト(ほとんどの場合、グループによって作成され、その選択について熟考された説明が提供されている)は、ある種の直感的なチェックとして使うことができる。自分は、業界全体で何が起こっているのかを把握しているのだろうか? 自分が見逃している、他のウォッチャーの目に留まったものは何だろう? 応募作品に熱狂的に同意できるだろうか、それとも心底同意できないだろうか、そしてその比率は? 年月が経つにつれ、自分の意見はどのように変わってきたのか?
このような疑問が、新しい「トップ100」リストが発表されると頭をよぎる。そこで今年は、「Top 100 Wineries of 2022」(2022年版トップワイナリー)が発表されたのを機に、1986年から『Wine & Spirits』(ワイン&スピリッツ)誌の編集者で発行人を務めるジョシュア・グリーンにコンタクトした。
リストの序文に記載されている基本的な事項以上に、このようなリストが実際はどのようにまとめられているのかに興味があったからだ。これはグループとしての取り組みで、何千ものワイナリーを吟味している。またリストの目的を明確にする重要な差別化として、グリーンと彼のチームは、ワイナリーのワイン生産そのものに着目した2段階のブラインド・テイスティング・プロセスを採用している。これはワイナリー自身の訪問客サービスやホスピタリティとは独立した尺度である。
つまりこのリストは「個別ワインのトップ100リスト」でも「行ってみたいワイナリーのトップ100リスト」でもない。むしろ、同業他社との差別化を見て取れるほど十分な、実質的かつ一貫したワインの生産を行っているワイナリーのリストだ。
ここに挙げられているもののなかに「一発屋」はいない。筆者が『Wine & Spirits』のリストで最も評価しているのは、長期間にわたる継続性と、検討しているワインの幅の広さの2点だ。
以下は、グリーンとの会話の中から、今回のトップ100ワイナリーのリストがどのように実現されたかについてを抜粋したものだ。以下では、物流や実現の裏話が語られている。なお別の記事では視点を変えて、グリーンが、今年のサプライズ、COVID(新型コロナウィルス感染症)に関連した挑戦課題、そして個人的に最も興味深いと思ったことについて話を聞いている。