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2022.10.01 14:00

「トップ100ワイナリー2022版」リストができるまでの舞台裏

Getty Images


──『Wine & Spirits』はいつからこのリストを作成しているのですか?

JG(ジョシュア・グリーン):ワイナリー・オブ・ザ・イヤーを初めて制作したのは1987年です。その後、試飲の回数が増え、雑誌が大きくなるにつれ、最も成績の良かった100軒のワイナリーを選び出すまでに成長しました。年間1万本以上のワインを試飲・レビューし、その中から選ばれたワイナリーをリストアップしています。
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──どのような基準で選んでいるのですか?どのワイナリーが最も好調であるのかを、どのように判断しているのでしょうか。

JG:テイスティングはすべて、レビュワーがワインの値段や生産者を知らない状態で行います。ワインの産地、品種、ヴィンテージは知らされています。その産地を担当するレビュワーが採点し、結果はデータベースに登録されます。そして年末に、90点以上の推薦が3点以上あったワイナリーからもう一度選び出します。

それぞれのワイナリーのビジネスモデルやワインの世界での位置づけをもとに、どのようなパフォーマンスを発揮したのかを、個別に見ていきます。なるべく多様なメンバーで臨みたいと思っています。おもしろいのは、世界各地のワイナリーたちが自分の居場所をどう解釈しているかが示されることです。

──長期間にわたって繰り返し登場するワイナリーもあるのでしょうか?

JG:プルミエクリュ(Premier Cru)というページで記録しています。それらは私たちが高いスコアで評価するワインを常に生産しているワイナリーです。例えば、オーストラリアのペンフォールズ(Penfolds)は、今年で「トップ100ワイナリー」を受賞したのが30回目となりました。長年にわたって最も多い得点を獲得しています。そういう生産者を追い、その安定した様子を眺め続けるのは楽しいことです。私の心に残っているのは、ペンフォールズ(30回受賞)、コンチャ・イ・トロ(28回、チリ)、アンティノリ(23回、イタリア)、シャトー・サン・ミシェル&エロイカ(24回、米国)、リッジ(23回、米国)、ルイ・ジャド(20回、フランス)です。彼らは特別クラブのメンバーのようなものです。
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──テイスターやレビュワーの構成についてもう少し詳しく教えてください。

JG:私たちは5人の評論家を抱えています、あとはニューヨークとロサンゼルスで私たちと定期的にテイスティングをしている人たちをレビュワーに迎えています。レギュラーテイスターとして頼りにしています。その中にはジャーナリストやレストラン経営者、小売業者もいます。また他の人にも来てもらい、現在のレビュワーの質が保たれているかも検証しています。求めているのは、私たちにただ賛同してくれる人ではありません。各自が自分のテイスティングを持ち寄ってくれる、それがすごくいいのです。「なぜそう考えたのですか」と問いかければ、他のレビュワーたちを納得させる答が得られるかもしれません。本当におもしろいです。

私たちは、なぜそのワインを薦めるのか、なぜそのワインを買うように勧めるのか、その理由を明確にすることを求めているのです。ワインの魅力とは何でしょう? まあそれはまた違う種類の議論になりますけど。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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