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2022.10.03 06:30

コロナが生んだ「大量退職」 原動力となった5種類の人材

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シャノン・ハレルは昨夏、スイスの食品大手ネスレでのマーケティング担当職を辞め、当時ブームが起きていた遠隔医療業界の企業で働き始めた。だが数カ月後、この会社は業績悪化に伴い株価が下落。そこでハレルは、リンクトインのステータスを「open to work(転職に前向き)」に変更し、4月までにペット保険会社の戦略的コミュニケーションとチャネルマーケティング担当として働き始めた。

ハレルは「不吉な前兆を感じ取った」と語る。「あの業界の成長が少し不確かに思えたので、懸念が生じた。誰でも不安になると思う」

ハレルは、米コンサルティング企業マッキンゼー・アンド・カンパニーが「従来型」と呼ぶタイプに相当する。これは、新型コロナウイルスの流行を受けて起きた「グレート・リジグネーション(大量退職)」のトレンドに拍車をかけた5つの人材タイプの一つだ。この分類は、大量退職の流れを止める上で鍵となるかもしれない。

マッキンゼーは最近行った調査で、異なる業界で働く人が過去2年の間に何を理由として辞めたのかを特定し、その情報を人材の維持に役立てるべく、世界中の1万3000人以上の労働者にアンケート調査を実施した。あらゆる種類の労働者に共通していたことは、楽観的な見通しだ。回答者の4分の3は、今の仕事と同じか今よりも良い仕事を見つけるのは難しくないと感じていた。

人材が売り手市場にあることから、離職した人の半分以上は、新しい業界に移動。同じ業界で転職した人はわずか6%だった。業界離職率が最も高かったのは公共・社会福祉分野の57%。最も低かった業界は医療・製薬だった。

重要なのは、こうした人々の多くが、近いうちに前の業界に戻ったり、仕事自体に復帰をしたりする意向がないことだ。転職先がない状態で辞めた人のうち、仕事に戻った人はわずか47%で、従来型のフルタイム雇用に戻ったのは29%だった。

こうした中、雇用主は、どんな人が転職に前向きなのかを知り、そうした人材を採用・保持するため必要なものは何かを見極めなければならない。マッキンゼーの調査では、以下の5つのタイプが特定された。
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編集=遠藤宗生

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