キャリア・教育

2022.09.21 17:00

文字が読める人の数、21世紀に「減る」ことも?

Getty Images

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リテラシー (literacy) という言葉、日常的に耳にしたり、口にしますね。IT、メディアなどの特定分野での知識や能力の有無を「◯◯リテラシーが高い・低い」といった表現で使うケースが一般的かと思います。それではこのリテラシーという言葉、もともとの意味はご存知でしょうか。

literacyのスペルをよく見てみると、literatureと重なる? letterとも近いような? そうなんです。ラテン語で文字を意味する litteraという言葉から来ています。リテラシーとは識字率、つまり、きちんと読み書きができるかどうかを表す指標です。すみません、前置きが長くなってしまいました(でも、語源って楽しいと思いませんか…?)。

世界の「読み書きできる率」の今は?


手書きの機会がめっきり減っているとはいえ、デジタルのスクリーンを舞台に毎日当たり前のように読み書きをしている私たち。しかし、時代や場所が変われば、その知識や能力が特別な存在であったことがわかる、興味深いデータを紹介しましょう。こちらのグラフをご覧ください!



今から200年前、読み書きができたのは「8人に1人」!


Our World in Dataと世界銀行がまとめたデータです。いまから200年前の1820年、15歳以上の世界人口の識字率はわずか12パーセント。つまり、読み書きができるのは、だいたい8人に1人ということです。ちなみに1820年といえば日本は江戸時代後期の文政3年です。当時の日本における識字率について巷では諸説あるようですが、ファクトを大切にしたい筆者としては、何らかの統計データ、あるいはそのもとになる資料は残っていないのだろうか、と考えてしまいます。

さて、時代は移って1900年、世界の識字率はまだ20パーセントにとどまっていました。そして、1950年代以降、やっと大きな上昇を見せるようになります。1960年に42%、1983年には70%に達しました。今日現在、世界の識字率は87%、10人のうち約9人がすらすらと読み書きできる時代になりました。

グローバル化が進むとともに、地域間格差の解消も進んでいます。2021年、ヨーロッパや旧ソ連の国々、中国での識字率は99パーセントにまで達しています。一方、新興国ではどうでしょうか。インドやバングラデシュは74%、パキスタンは58%、アフガニスタンは37%と、先進国から40年から60年ほど遅れて世界を追い掛けている状況です。

紛争を機に──


発展の著しいアフリカ大陸に目を移しましょう。ニジェールで19%、ナイジェリアで62%、ケニアで81%、南アフリカでは95%と、地域間格差が顕著ですね。そして、不幸にも紛争などを理由に学校教育が中断され、結果として識字率が低下している国すらあります。

マリでは2018年時点で35%だった識字率が、2020年には31%に落ちてしまいました(興味のある方は「マリ北部紛争」で検索してみてください)。サハラ砂漠より南のアフリカ諸国では男女差が際立つのも特徴と言えます。男性が72パーセント、女性は59パーセントにとどまり、その差がさらに大きくなっています。

メディアリテラシーといった「応用編」にまだまだ手の届きそうにない国々とその格差、改めて驚いてしまった今回でした。また次回も「データで発見」しましょう!

(追:世界のリテラシーの今をもっと知りたい方、ぜひこちらをご覧ください)

文=津乗学

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