「幸せにこだわると逆効果」いま知っておくべき3つの心理的パラドックス

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#3.集団的トラウマがコミュニティを救う


テロや自然災害のような集団的トラウマを経験すると、すでにうつ病や不安神経症の人は限界を超えるかもしれないと考えるかもしれない。しかし、最近『Personality and Social Psychology Bulletin』(人格社会心理学会報)に掲載された、ペース大学の心理学者アンソニー・マンシーニが率いる研究結果は、別の見方を示している。

マンシーニらは、新入生が大学に適応するための研究を行っていたが、偶然にも、ハリケーンサンディ(2012年に発生した大型ハリケーン)が大学キャンパスを襲った。

このことにより、マンシーニは、ハリケーンに直面した学生を対象に、ハリケーン前後のメンタルヘルスの研究を行うというユニークな立場となり、ハリケーンにさらされた学生とハリケーンにさらされなかった学生を比較する機会さえもが与えられた。

「どちらの比較でも、ハリケーン経験グループの方が良い成績を示した」と彼はいう。「ハリケーン経験グループの振る舞いを、ハリケーン前後で比較したところ、苦痛、否定的感情、愛着回避が減少していた」

マンシーニによって「逆境からの心理社会的利益」と呼ばれるこの現象は、社会的支援の増加、愛着不安の減少、愛着回避の減少につながった。その結果、ハリケーン経験グループは、ハリケーンを経験することによって、実際に質の高い日常生活を送っていることが明らかになった。

マンシーニによれば、ストレスには意外なほど心理的な利点があり、特にコミュニティの中で人との絆を深めるという意味で有効だという。

マンシーニは「ストレスの多い体験の後には、人と関わりたいという本能に従いましょう」と助言する。「新しい関係を築いたり、既存の関係を強化したりすることができて、その両方が将来あなたの利益になるかもしれません」

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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