#2.悪夢は、起きている間の生活をより良くするために存在する
誰でも奇妙で不穏な夢を見る。そうした夢を見た後には、なによりもまず、その夢を完全に忘れたいと思うだろう。
しかし、学術誌『Dreaming』(ドリーミング)』に 掲載された、オリビア・トゥシグナントを代表とする研究によれば、不穏な悪夢は起きている間の生活で重要な感情的役割を担っていることが明らかになった。
彼女によれば、悪夢や好ましくない夢の中には、私たちを助けてくれるものがあるという。
・ 私たちが、1日をどのように方向づけ、どのように捉えるかの中に潜む、精神的にネガティブな要素に注意を向させてくれる。その組み合わせは、心労を示しているのかもしれない。そのように注意を向けることによって、ストレスの増加に寄与しているものを解決または(たとえば心理療法士と)共有し、ストレスを処理して解放することができる
・ 相対的な捉え方で、起床時のネガティブな感情を減少させる。朝には、悪夢を引き起こしたかもしれない前日のストレスに比べ、気分は軽くなっている
最近、不穏な悪夢を見るようになったという人に、トゥシグナントは次のようなアドバイスを行っている。
1. ペースを調整し、夢について共有することができる心理療法士と協力することで、時間とプロセスに関連した生活のストレス要因のパターンに気づくことができる
2. 夢を日記に書いたり夢の内容を詳しく説明したりする。口頭であれ、視覚的であれ、夢の結末を変えることができるのだ。その後、毎晩寝る前に、古い夢ではなく、新しい夢を10~20分程度、声に出して語ってみると良いだろう。この記録、変更、リハーサルのプロセスが、エビデンスに基づく悪夢からの回復セラピーの前提となる
3. 悪夢から目覚めたときに、心地よいもの(たとえば、落ち着く声を聞く、テディベアを抱きしめる、癒される香りをかぐなど)と関わることで、感情的な安心感や安全感をより強く感じることができる
「自分の心に好奇心を持ち続け、自分を支えようとする心自身を慈しみましょう」とトゥシグナントはいう。「夢は自分だけのものということを忘れないでください。それらは現実ではなく、あなたの心の中にもともとあるキャンバスに描かれたアートなのです。最終的に、夢の意味を決めるのは夢を見ているの自由なのです」