ビジネス

2022.09.16 16:30

パナソニックとの共同実験で「家事のDX化」を推進

タスカジ代表取締役 和田幸子

洗剤や調味料といった、買い忘れがちな日用品。残量を把握し、購入・配達までを自動化してくれるサービスが誕生するかもしれない。

開発を進めるのは、家事代行のマッチングプラットフォーム、タスカジだ。代表の和田幸子は「タスカジさん(登録しているハウスキーパー)から『洗剤が切れていて満足いく掃除ができなかった』とか、ユーザーからの『料理のつくり置きを頼みたいが食材購入が手間だ』という声が開発のきっかけ」と話す。

2022年5月には東京都のDX推進実証実験プロジェクトとして、パナソニックとの共同実験を発表。日用品の残量を検知する重量センサーと、タスカジのアプリを連携させ、重量が一定数値を下回ると自動でネット注文するシステムを導入。利用者からは「都度購入の手間がなくなった」と喜ぶ声があがった。今後家事代行サービスに加え、こうした家事の自動化を推進していく予定だ。

和田はタスカジ創業前、大手企業で働きながら結婚・出産を経験。「夫とは結婚時に『家事育児の負担は半々で』と話していたが、いざ育児休暇から復帰すると2人でやっても無理だった」。手ごろな家事代行サービスを探すも何年たっても安くならず、リーズナブルな家事代行を自分でつくろうと起業を決意した。

女性のキャリア形成が謳われながら、子どもをもつ女性社員に対し短時間勤務を認めるなど「会社側が好意で進める取り組みが、女性のキャリア断絶の誘因となることもある」。タスカジの女性ユーザー対象の調査では、9割以上が「女性がリーダー職を目指すうえでは家事代行の利用が有効」と回答。「家事育児は女性の負担だという考えをなくし、核家族でも気軽にサポートを受けられる環境があれば、女性がリーダーとして活躍できる社会につながる」

直近ではこれまでWebサイトからのみ利用できた家事代行マッチングのアプリ版をリリース。ハウスキーパーとのチャットがリアルタイムでできるなど、より気軽に使えるよう改良を重ね「家事代行の生活インフラ化」を目指す。

わだ・さちこ◎1975年生まれ。横浜国立大学卒業後、富士通に入社、エンジニアとしてERP製品開発や新規事業立ち上げに従事。2005年、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修了、MBA取得。13年11月、ブランニュウスタイル(現・タスカジ)を設立。

文=菊池友美 写真=帆足宗洋(AVGVST)

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