Web 3.0は日本にとって大チャンス、Astar Networkの可能性

ステイクテクノロジーズCEOの渡辺創太

「Web 3.0は日本にとって大きなチャンス。資源のあまりないこの国が失われた20年、30年を取り返していくために、1つの大きな『ナラティブ』になり得ると思っています」

そう語るのは、ステイクテクノロジーズCEOの渡辺創太だ。

同社は2022年1月、パブリックブロックチェーン「Astar Network」をローンチ。独自トークン「ASTR」の時価総額は一時2000億円を超えた。

今回、本社を構えるシンガポールから日本に一時帰国した渡辺に話を聞いた。

これからはマルチチェーンの時代へ


現在、世界には100とも200ともいわれるブロックチェーンが存在するが、それらは互いにつながってはいない。Astar Networkは、これらのチェーンを接続し、スマートコントラクトプラットフォームとして機能することを目指している。

「これまで、ブロックチェーン同士がトラストレスにつながっていないことで、ユーザーは不便を強いられていた。僕らは後ろ側の技術を整備し、かつインターフェイスも作っていくことで、ユーザーにとって最適なWeb 3.0を届けていきたいと考えています」

来年、2023年からは、ブロックチェーン同士がつながるマルチチェーンの時代になっていくだろうと渡辺は予測している。

「だから我々がレイヤー1のネットワークであることが非常に重要なんです。ブロックチェーンの世界では王道中の王道であるレイヤー1でプレゼンスを上げて、世界的な競争で勝ちに行く。それが、日本が経済をもう一度リードするということにつながっていくと思っています」

世界で高まるAstar Networkのプレゼンス


ローンチ8カ月目にして「ASTAR」のホルダーはグローバルで45万アドレスを突破した(2022年9月5日現在)。これはポルカドットのパラチェーンの中では最大数となる。また、エコシステムにはすでに80近くの企業や団体が参加。今後1年で、この数を150〜200まで増やしたいという。

ファウンダーである渡辺が日本人ということもあり、日本での注目度は高まっている。ただ、世界で見たときにどうかという声があることも事実だ。その点についてはこう説明する。

「この業界のリーダーでもあるコインベースが2022年9月1日に『Web3 開発者スタック』というガイドを発表しました。その『インターオペラビリティ(相互運用性)』の欄にAstar Networkが掲載されるくらいには世界的なプレゼンスが高まってきているところです」

実際、ステイクテクノロジーズは2019年の創業以来、Web3 Foundationより世界最多となる7回の助成金を獲得し、シリーズAではバイナンス等から、シリーズBではコインベース等から資金を調達している。さらにはWeb 3.0という言葉の産みの親であるギャビン・ウッドからもサポートを受けている。

そもそも渡辺らを見いだしたのは世界だったわけだ。
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編集=安井克至

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