ビジネス

2022.09.09 18:00

ユーグレナ流、新規事業の作り方 技術と社会実装が交じり合う環境を整備する #3

バングラデシュで目の当たりにした栄養問題に苦しむ子どもたちを救うことを決意し、2005年にユーグレナを立ち上げた出雲充(いずもみつる)社長。世界で初めて微細藻類ユーグレナ(和名:ミドリムシ)の食用屋外大量培養を成功させた同社は2012年に上場を果たした。ユーグレナ、クロレラなどを活用した食品や化粧品、バイオ燃料への活用などに事業の幅を急拡大させている同社の出雲氏が考える、起業家の素養、事業立ち上げの秘訣とは。DIMENSIONビジネスプロデューサーの下平将人が聞いた(全3話中3話)

第一話:ユーグレナ出雲充が語る、起業家に求められる「H・E・R・O」とは #1
第二話:3年で「500社」に営業 ユーグレナ急成長を支えたマインドセット #2


──上場後は資本市場への説明責任も生じます。失敗や変化を許容するカルチャーと、結果を出す義務のバランスについてはどうお考えでしょうか。

原則としては、それぞれのプロである各担当者が、それぞれの立場でそれぞれのお客様に合わせて、適切なメッセージを発信する。これに尽きると思います。

ただ、唯一難しいのが社長の立場です。

「機関投資家に失敗を減らせと怒られたから、今日から挑戦を減らそう」「うちは変化し続ける会社だから、中長期の事業計画は出しません」などと、どちらか片方に振れて意思決定してしまってはいけません。

今も日々難しいと感じていますが、結局は担当者である仲間を信じ、日々バランスさせていくしかないのかなと感じています。
「技術」と「社会実装」の両立

──ユーグレナを軸に食品や化粧品、バイオ燃料など、新しいチャレンジをされています。既存事業を活用しながら新規事業を立ち上げるうえで大切にされていることは何でしょうか。

研究していると、ワクワクするものって色々出てくるんです。ただし、それだけで放置しておくと、ただの研究者の趣味になってしまいます。

面白い研究をすることと、これを社会実装した時にどういうインパクトがあるのかを考えること。私はこれを一人にさせるのではなく、それぞれが得意な両者が一体となれるようなコミュニティや、環境、カルチャーを構築することを意識しています。

例えば研究側から「すごく面白い油が取れそう」というのがあって、社会実装側からは「脱炭素・温暖化対策・気候変動問題が大きなトレンド」という視点があったとします。この両者が交われば、自然と「環境に優しい面白いバイオ燃料を作ろう」という話になりますよね。

研究と社会実装、両者が交じりあえる環境さえ作れれば、あとは自然に新規事業は増えていくのかなと思います。
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文=下平将人 提供元=DIMENSION NOTE by DIMENSION, Inc. 編集=露原直人

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