経済的機会の平等は、一般に尊厳のある生活の核となるものですが、政府の対応だけでなく、企業が果たすべき役割もあります。官民連携の活用や、ビジネスに適した環境作り、社会起業家のエコシステムの強化により、新たな雇用機会を創出し、革新的で応答性の高い経済マインドセットを育成することができます。
3. 質の高い教育への平等なアクセスを実現する
教育格差は依然として大きく、特に低所得国では多くの人にとり中等教育を受けることが夢のような状況です。
「エコノミスト(Economist)」の報告書によると、授業を受けていない学齢期の子どもの割合は、2000年の26%から、2018年には17%まで低下したにも関わらず、「(世界の子どもの90%が居住する)開発途上国の10歳児のうち、簡単な物語を読み、理解できる子どもは半分にも満たない」状況です。効果的な対応がとられなければ、新型コロナウイルスのパンデミック下での学校閉鎖の影響で、事態はさらに悪化するとみられます。
世界銀行は、「中低所得国の10歳児のうち、簡単な物語を読んで理解できない子どもの割合は、2019年の57%からおよそ70%に上昇した」とし、これらの子どもの生涯収益が21兆ドル消えると推定しています。
急速に変化する雇用市場で若者が活動するためのスキルとツールを備え、競争力を高めるために、各国政府は質の高い教育への平等なアクセスを確保しなければなりません。また官民連携により、教育分野におけるイノベーションに取り組み、労働市場への包摂的で公平な移行とディーセント・ワークの確保を徹底する必要があります。
政治的排除の意識、経済発展の停滞、不平等といった問題は、若者が未来を形作る上での障害となり、全世界においてより包摂的で平和な社会への展望を損ないます。
社会は、若者が政策形成を追求し、そして実際に関わる機会を得るために、自分たちの将来に影響を与える意思決定のためのプラットフォームや道筋を作らなければなりません。こうすることでアカウンタビリティの意識が生まれ、社会においてステークホルダー間の信頼の再構築が促されるのです。
(この記事は、世界経済フォーラムのAgendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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