ビジネス

2022.09.04

海の上で暮らす日が来る?海上建築スタートアップ 「N-ARK」とは

フォーラム・イベント「Deep Dive Day」


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Session3
「2030年のワーク・ライフスタイル」
出演者:N-ARK取締役/永田宙郷、取締役/木下明
ゲスト:コクヨ ワークスタイル研究所所長/山下正太郎
モデレーター:Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長/谷本有香
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Session3では、コクヨワークスタイル研究所所長の山下正太郎さんをゲストに迎え、「2030年のワーク・ライフスタイル」についてセッションされた。

山下さんは、コクヨに入社後、戦略的ワークスタイル実現のためのコンサルティング業務に従事。手掛けた企業は、経済産業大臣賞やクリエイティブオフィス賞などを受賞するなど、高い評価を得ている。2011年、企業の働き方とオフィス環境を説いたメディア「WORKSIGHT」を創刊。未来の働き方を考える研究機関「WORKSIGHT LAB.(現ワークスタイル研究所)」も立ち上げ、長年にわたり働き方改革の先陣をきって提案してきた人物。


コクヨ ワークスタイル研究所所長 山下正太郎氏

「毎日会社に出勤する慣習からリモートワークへとリセットしたことがきっかけとなり、コロナ禍前から胎動していた働き方の変化が加速しました。キーワードは、『ハイブリッドワーク』。これは単に働く場所がオフィスとリモートになったということではなく、基点をライフに置き、居住地の選択肢をも自由に広がった働き方を指します。

働く場のパラダイムで言えば、第三世代では、ネットワークドオフィス、第四世代では、ミックスオフィス、そして第五世代では、ユーザージェネレーテッドプレイスへと変化してきましたが、個人基点で働く場を創出する動きは、パッションエコノミー(情熱経済)のが活性化にも貢献しています。

「パッション・エコノミー」とは、さまざまな民主化されたツールを使って個人の想いや価値観、知識・スキルに基づいたサービスを提供し、収益化する経済圏のことです。パッション(情熱)を持つ人を応援するプラットフォームが形成され、個性を表現したコンテンツの創出・提供を重視していることが特徴です」。


N-ARK取締役 永田宙郷氏

世界を例にあげると、パリでは自分の住まいから15分で衣食住が完結する「15-Minute City15min city」。バルセロナでは、都市内で自律的な循環を作る「ファブシティ」というコンセプトが推進されている。

「つまり、パッションエコノミーの同時代生もありつつ都市生活者は、消費する人から、創造する人へと変化してきたのです。課題は、都市生活者が自分達で経済圏もコンテンツも生み出していく主体となった時に、自分達のコミュニティの中の『ガバナンス=自治をどう作っていくか?』だと思います」と山下さんは言う。

海上都市においても将来的に人間が住む以上ガバナンスの課題は避けて通れない。「二酸化炭素の排出を極限まで抑えた新しい共同体を、水の上に作ろう」というコンセプトの元、アムステルダム市郊外の運河で、市民たちの手によって市民たちが自分達の自治権、エネルギー、資源循環も包括的に議論し、作られたのが水上共同住宅街「スクーンシップ」がよく語られる。

Session1と2でキーワードとして出ていた、『必然性』『陸以上の利便性』を踏まえて考えると、海上都市におけるライフスタイルは地上ではできない、必然性から生まれた生活プロダクト、資源循環システム、パッションエコノミーなど、海上独自の経済圏とカルチャープロダクトと技術が融合した、地上にはない「オルタナティブな自治区」としての付加価値を作っていくことが大切になっていくのでは?との議論が白熱した。

海上建築を実現するキーワード:
『自律的な循環』
『都市生活者は創造する人』
『オルタナティブな自治区』
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文=中村麻美

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