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2022.09.04

海の上で暮らす日が来る?海上建築スタートアップ 「N-ARK」とは

フォーラム・イベント「Deep Dive Day」

気候変動による自然災害や海面上昇などの影響は、今後ますます深刻になっていく。気候変動で行き場をなくす気候難民は、2050年までに2億人以上出ると言われている。そんな迫りくる時代を生き抜くために、海上建築スタートアップ「N-ARK」(ナーク)が誕生した。聞き慣れない海上建築とは?その取り組みや理解を深めるべく、専門家を交えたフォーラム・イベント「Deep Dive Day」が開催された。

2021年夏に誕生したN-ARKは気候変動の影響によって地上での生活が脅かされる未来に備えて、海から建築を再発明し、気候変動時代に適応していく海上の環境作りを目指す。


N-ARK代表 田崎有城氏

海の上に浮かび、そのまま移動もできる箱舟の様な建築。全く新しい文明文化になるであろうこのプロジェクトの盲点とは、「近代建築は、決定的に海に弱い」という点である。現状使われている建築素材(鉄、コンクリ、ガラスなど)は、地球に還す事が難しい。それ故、環境負荷が高くなってしまう。そして耐塩性にも弱い。

田崎さんの目指しているのは、有事の時でも海上にあるこの建物の中で生きられる事。そのためのファーストステップとして、現在はファーストステップとして、海水を直接の栄養源として野菜の栽培ができる「海水農業技術」を搭載した海上ファーム『グリーンオーシャン』の浜名湖での実証実験に取り掛かろうとしている。

実証実験では、海面下でも人工光合成による植物プランクトンを増殖させる事での海中環境改善など、海上のメリットを最大限に活かした仕組みをプランニングしている。

つまり、環境課題をきちんと捉えた上でクリエイティビティと課題解決技術を組み合わせながらビジネスに繋げるのがN-ARKのミッションである。「いきなり人が住む住居ではなく、先ずは農業ファームや海中環境改善など、地域課題解決の装置として接点を作っていければ、と考えています」と語る。
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文=中村麻美

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