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2022.09.04

海の上で暮らす日が来る?海上建築スタートアップ 「N-ARK」とは

フォーラム・イベント「Deep Dive Day」


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Session1
「海上建築の過去、現在、未来」
出演者:N-ARK代表/田崎有城、取締役/塩浦政也
ゲスト:東京都市大学 名誉教授/濱本卓司
モデレーター:Forbes JAPAN 執行役員 Web編集長/谷本有香
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Session1では、軍艦島の廃墟建築群の構造ヘルスモニタリングで、映像と音と振動を統合した視聴触統合センシング及び、無線と有線を使ったロバスト転送、さらに太陽光発電によるエネルギーハーヴェスティング研究の第一人者である濱本卓司さんをゲストに迎え、海上建築の過去、現在、未来を検証。


東京都市大学名誉教授 濱本卓司氏

国内で海洋建築が認識されたきっかけは、1967年和歌山県白浜町に建設された海中展望塔。1975年には、沖縄海洋博覧会が開催され、手塚治虫が総合プロデューサーとして「アクアポリス」という海上都市構想が当時の人口増加問題の解決策として、又次世代の都市の在り方として期待された。1989年のアジア太平洋博覧会では、人工海浜の海上に商業施設が建設されたこともあった。

1999年に海洋建築関連の論文で建築学会賞を受賞した濱本さんは、2010年には、海洋建築の委員長に就任し、海洋建築音計画設計指針を作り、世の中に発表した人物。2011年3月に起こった東日本大震災で津波に対するアプローチを殆どやっていなかった過去の建築にも注視するようになったという。

世界を見てみると、中東UAEドバイの人工島、シンガポールの浮遊式スタジアムなど、海上空間の有効利用を推進している。そして今年2022年、韓国・釜山市が海上への移住計画(オーシャニクス・シティ)の建造を許可し、最初の区画作業がスタートする予定。つまり、世界的にも海上建築への機運は高まってきている。



しかし海上建築プロジェクトは海が公共空間であるため国や行政が動かないと実現できない。同時に民間からのムーブメント形成も必要になるので、海上建築実現には官民一体での事業推進が必要となる。



「海上建築は、戦後建築史において何故実現しなかったのか?それは、経済合理性を満たし、環境的な条件も満たす『必然性』がなかったからといえます。この『必然性』の課題を整理しなくてはいけない。

そしてもう一つは『機能的ネットワーク』。建築だけでなく、機能的、経済的なネットワークを構築してこそ初めて実現するものだと考えています。1975年のアクアポリスには、経済的な要素だけでなく、人々の夢や期待も相まって一大ムーブメントとなっていた。N-ARKには、ムーブメントを起こしながら情熱的に活動してもらい、海上建築を実現することを期待していると、濱本さん。熱い答弁からスタートした。

海上建築を実現するキーワード:
『必然性』
『機能的ネットワーク』
『ムーブメント形成』
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文=中村麻美

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