テスラ車で低速の衛星通信が可能に、自動運転車の遠隔操作支援

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低帯域幅のウェブブラウジングはある程度可能かもしれない。残念なことに、ほとんどのウェブサイトは、多くの人が持っている高帯域幅の接続を利用しており、以前なら問題なく動作していた非常に低帯域幅の接続では使用できなくなっている。

テスラがスターリンク専用端末を搭載すれば、この状況は変わるだろう。ただし、既存の端末ほど大きなアンテナや消費電力を必要とする端末は必要ではない。スターリンク端末は、高いデータ転送速度を得るために、複雑なフェーズドアレイアンテナ技術を使って目的の衛星へビームを「狙い撃ち」する。

自動運転に役立つ?


興味深い機能の1つは、自動運転車の遠隔操作支援を提供することだろう。テスラはこれを「すぐに実現する」と約束している(悪名高い話だが、8年ほど前から述べている)。だが実際にそのときがくるとしても、多くの企業は、それでも時々人間が車両に介入する必要性を考えている。遠隔運転するためではなく、混乱した状況で何をすべきかについての戦略的アドバイスを与えるためだ(特にドライバーが乗っていない場合に)。この場合の課題は、車両は携帯電話の「圏外」地帯を走行する必要があるので、そのような場所ではリモートアシストシステムを利用することができないということだ。広帯域の接続手段を持つテスラなら、スターリンクを使って、空を見渡せる場所ならどこでもクルマが接続できるようにできる。実際、低速回線でも、クルマから状況を静止画で送信し、戦略的なアドバイスを受けることは可能だ。場合によっては、あまり他の多くの車が必要としていないエリアであれば、低フレームレートのビデオも送ることもできるだろう。そのためには、新しい衛星がたくさん提供されていることが必要だ。あるいは、自動車が古い衛星とも通信できる端末が必要となる。

なにしろテスラのCEOはスペースXのCEOと仲が良いので、これはおもしろいメリットとなる。他社の車両では、この機能に同じようにはアクセスできないかもしれない。

スターリンクと携帯基地


スターリンクは、遠隔地にいるすべての人の接続性を向上させる非常に大きな能力を備えている。特に、スターリンクの端末と携帯電話の基地アンテナがセットになった低価格の「ミニセル・イン・ア・ボックス(箱入り携帯基地セット)」が発売されても不思議はない。このボックスは、どんな小さな町にも設置でき、その町の中や周辺地域に5Gデータを提供できる。より長距離をカバーするために丘の上に設置されることもあるかもしれない。

実際、ソーラーパネルとバッテリーを搭載した箱は、採算が取れる数のユーザーに使ってもらえるなら、ほとんどどんな場所にでも設置することができる。夜間、電池が少なくなったら電源が切れるか、低電力の緊急通信専用モードになるとしても、多くの地方ではこのようなボックスがあれば良いと思うだろう。そのようなボックスならば、新しいスターリンク衛星は必要ない。多くの人々にとっては、どんな小さな町でも音声とまともなデータ通信の行える小さなゾーンを手に入れることができる方が、どこでもテキストメッセージを送れることよりも便利かもしれない。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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