テスラの自動運転車が子供を轢く、「過激CM」制作元の主張

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イーロン・マスク率いるテスラは、フル・セルフドライビング(FSD)と呼ばれる同社の自動運転機能をオンにしたとされる車両が、子供を模したマネキンを認識せず、何度も轢いてしまう動画をテレビのCMで流している安全団体に対し、訴訟を起こすと脅している。

ソフトウェア開発者で起業家のダン・オダウドが率いる「ドーン・プロジェクト(Dawn Project)」は、8月9日に放映を開始したCMについて、法的措置をとると脅す停止命令書をテスラの弁護士から受け取ったと述べている。これを受けて彼らは、全米で広告を流すための放映枠を追加で購入したという。ドーン・プロジェクトは動画の末尾で電話番号を表示し、議会に働きかけを行うよう求めている。



ドーン・プロジェクトは、カリフォルニア州ロザモンドにあるテストラックで動画の撮影を行い、ドライバーは一切、ハンドルに手をふれずにテストを行ったという。その結果、FSDをオンにしたテスラの車両は、前方に置かれたマネキンに反応せず、轢いてしまうケースが複数回、確認されたと述べている。

オダウドは声明で、テスラのFSDが非常に危険なものであり、学校の横断歩道で子供を轢かないことが証明されるまで、使用を取りやめるべきだと述べている。また、テスラのチーム全体がバグの修正に取り組むべきだと主張した。

FSDという名称自体が問題?


テスラの自動運転ソフトウェアに対する懸念は、多くの事故に関連して行われた、米国道路交通安全局(NHTSA)の調査で指摘されたものだ。さらに、テスラのエンジニアが規制当局に対して、FSDが実際には自動運転システムではなく、運転支援機能であると述べていることから、フル・セルフドライビングという名称も問題視されている。

FSDは現在、テスラのベータ版プロダクトとして一部のオーナーにしか提供されていないが、同社は今月、まだ完全に機能していないにもかかわらず、その価格を1万2000ドルから1万5000ドルに引き上げると発表した。
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編集=上田裕資

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