米下院歳入委員会のビル・パスクレル議員とアール・ブルーメナウアー議員は20日、テスラのイーロン・マスクCEOに宛てた書簡で、テスラが「新疆ウイグル自治区で横行している強制労働に加担していない、あるいは経済的な利益を得ていない」ことを2月2日までに確認するよう要求した。
パスクレル議員は下院の監視小委員会で、ブルーメナウアー議員は同貿易小委員会でトップを務めている。
米国では昨年12月、ウイグル族らの強制労働によって生産された製品の米国内への輸入を禁じる「ウイグル強制労働防止法案」が成立しており、議員らはテスラがその法律を遵守しているかどうかを評価しようとしている。2人の議員はまた、中国本土で他にも複数のショールームと工場を運営しているテスラが、中国の他の地域に進出する計画があるかどうかを質問した。
共和党のマルコ・ルビオ上院議員も1月上旬のツイートで、テスラが「中国共産党による大量虐殺と奴隷労働の隠蔽に手を貸している」と非難していた。
中国との貿易政策にたびたび疑問を呈している米国の製造業労組 Alliance for American Manufacturingは、フォーブスに寄せた声明でテスラの決定を「恥知らず」だと批判していた。
米国イスラム関係評議会のイブラヒム・フーパーも、1月3日にテスラに対し、ショールームを閉鎖し、大部分がイスラム教徒であるウイグル人に対する「大量虐殺を経済的に支援するようなことはやめるべきだ」と訴えていた。
ホワイトハウスのジェン・サキ報道官は、今月初めにこの件でテスラについてのコメントを避けたが、民間企業は新疆での人権侵害や虐殺に反対すべきだと述べていた。
フォーブスはテスラにコメントを求めたが現時点で回答は得られていない。
テスラは12月31日、新疆ウイグル自治区の首都ウルムチにショールームを開設したことを発表した。米国務省は、中国政府が新疆ウイグル自治区のウイグル族に対して継続的な大量虐殺を行っており、その他にも強制労働、強制不妊手術、100万人以上の民間人の恣意的な監禁などの虐待を行っていると昨年1月に宣言していた。
中国はこれらの主張を激しく否定している。米国は、一部の中国企業を制裁対象とし、ブラックリストに載せるなどの対応をとっており、バイデン大統領は先月、同地域での強制労働で作られた商品が米国市場に入るのを防ぐことを目的としたウイグル強制労働防止法に署名した。
米国ではすでに強制労働で製造された商品が禁止されていたが、この法律により、税関・国境警備局が別の証明をしない限り、新疆で製造された商品はすべて強制労働で製造されたものであるという前提が確立された。
「米国企業が、中国共産党の重大な人権侵害をこれ以上助長することがあってはならない」と、パスクレル議員とブルーメナウアー議員らは述べている。