ヴィーガンでもベジタリアンでもない。野菜料理の可能性を問う

フランク・フォルシェフ


──実際にそれで有名になり、テレビ番組を持つようになられましたね。

各界の著名人に毎回私が料理を作る、「フォルのもぐもぐ」という番組でした。予め伝えられるのは、ゲストが「どんな野菜料理が好きか」という情報だけ。そこからイメージをふくらませて私が料理を作り、その料理を食べてもらいながら、その人の仕事ではなく、プライベートな面について語り合う、というものです。それがきっかけで“ベジタブルシェフ”と呼ばれるようになりました。

野菜をより多く食べることは、人にも地球にも健康的なことなので、野菜が中心の食生活の良さをもっと世界に広めたいと思ったのです。でもそのためには、私と同じ考えの人が、もっと大勢いなくてはならない。本も20冊以上出版しましたし、野菜の良さを伝えるワークショップをやりました。

でも、それでは、世界にこの考えを伝えるスピード感が十分ではない。それを伝える適役は誰だろうと考えたときに、やはりシェフだと思ったのです。そこで、野菜料理を中心とするレストランのランキング「We’re Smart Green Guide」を作りました。

──野菜中心の料理を提供するレストランのランキング兼ガイドブックという位置づけですね。内容について教えていただけますか?

メニューの35%以上に果物と野菜を使った料理を提供しているレストランを、1〜5のラディッシュの数で評価し、世界の「トップ100ベジタブルレストラン」を選び表彰するものです。

ラディッシュの数は、メニュー・料理全体における野菜・果物の使用割合に加え、健康、環境、サステナビリティへの配慮や取り組み、社会への発信の仕方なども評価基準としています。



──あくまでも「野菜が中心」なだけで、ベジタリアンやヴィーガンのレストランランキングではないということですよね。

はい。よく、ベジタリアンやヴィーガンを推進するランキングなのですか? と聞かれるのですが、そうではありません。私自身、肉も魚も食べますし、私の娘が17歳の時にベジタリアンになって、体調を崩してしまうことが増え、月に一度は肉を食べるようにしたら体調を崩さなくなった、という経験もあり、行き過ぎたベジタリアンよりも、バランスの良い食生活の方が大切だと考えています。

それに、ベジタリアン、ヴィーガンとカテゴリー分けしてしまうと、そうではない人を除外することになってしまう。そうではなくて、包括的なライフスタイルとして提案したいのです。大切なのは、多くの人が気軽に取り入れられるように広がりを持つことです。

2013年にこのリストを作って、今では46カ国・約1000のレストランを網羅しています。それぞれの国に、レストランを推薦するアンバサダーがおり、常に新しいレストランを探し、推薦を受けた上で、私もできるかぎり実際に訪問して決めています。

コロナ禍で、ベルギーでの地域版しかできていなかったリアルなイベントもこれからスタート。来年5月には日本での開催を考えています。日本には、野菜を大切にする精進料理の文化がありますから、きっと私たちのコンセプトも多くの人に理解していただけると思っています。

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文=仲山 今日子

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