良いニュースは、不安障害やうつ病を発症するリスクが未成年にはなく、成人も一定の期間を過ぎると低下するとみられることだ。一方、懸念されるのは、感染から2年が経過しても、認知症やけいれんなど、その他の疾患を発症するリスクは依然として高まったままとみられることだ。
新型コロナウイルスのパンデミックが発生して以来、感染すれば精神・神経疾患を発症するリスクが上昇することを示す証拠は増え続けている。そして、このウイルスの感染者が精神面に受ける影響の原因は、感染そのものにとどまらない。
経済的負担、大切な人の感染・発症や死、仕事における変化など、パンデミックの発生に伴って起きたあらゆることが、さまざまな問題を抱える人の急増につながっている。
米疾病対策センター(CDC)によると、世界的大流行が起きて以来、米国で確認された感染者は9300万人を超えている。さらに、検査を受けていない人や無症状の感染者も多いことから、精神・神経疾患を発症するリスクがわずかに上昇するだけでも、患者は数千、あるいは数百万の単位で増加すると考えられる。
今回の研究では、感染後に体調不良が続いた期間についての調査は行っていない。だが、たとえ一時的な疾患であったとしても、感染者の数からみて、その影響は極めて大きなものとなり得る。
──感染後に精神・神経疾患を発症するケースが多いのはなぜか、そのメカニズムは、いまだ解明されていない。