まずは日本のお話。この7月に発表された転職・求人関連情報サイト「doda(デューダ)」の調査によれば、2021年の日本人の転職理由のランキングは、第1位「給与が低い」第2位「昇進が望めない」第3位「評価方法に不満」でした。また、2020年ランキングでは「会社・業界の将来性が不安」も多く回答されています。
さて、世界ではどうでしょうか。今回の「データで発見、ワールド☆トレンド」では、世界でよく挙げられる転職理由について、データで迫ります。上の日本の結果と比べてどうなのでしょう。共感するものも多いはずです!
このインフォグラフィックは、オーストラリア、カナダ、インド、シンガポール、イギリス、アメリカでの2021年4月から2022年4月に転職をした約13,000人の声をまとめたものです(マッキンゼー社の調査)。新しい職場へと踏み出す決心を固めた人が出す辞表の裏側にある理由は、次のようなものでした。
最も多く挙げられたのが「キャリア開発や昇進の不足」、41%でした。このまま頑張ってもな… ということでしょう。ふむふむと頷く読者の方も多いかもしれません。また「社員にそう思われてるかも…」とひやひやする管理職の人も同様に多いことでしょう。
次に上がったのが「不充分な報酬」、36%です。これは当たり前ですが拝金主義ということではなく、自身の業務内容とその対価を比較した際に不均衡を感じるということではないでしょうか。もしくは、周囲とのアンフェアな差異が見えてしまった場合など、「仕事辞める」モチベーションとなってしまいますね。
日本の転職理由トップが「給与」、次いで「キャリア」なので、順位が逆転しているのはある意味鮮やかな差異かもしれません。
同時に、良いマネージャーの重要性もこの調査では強調されていました。3番目に多かった回答として「思いやりに欠けるリーダー / インスパイアしないリーダー」が34%で挙がっています。マネジメント職の方、ちょっと心覚えがあったりしませんか(筆者も冷や汗が…)。自分で自分を鼓舞するスキルがあったとしても、人と人とのコミュニケーションがモチベーションを増加させる大きな役割ということでしょう。
コロナウイルスが後押しすることとなったリモートワークも、辞職理由の多様化に影響を与えています。「職場の柔軟性の欠如」を26%の回答者が挙げています。世界中のホワイトカラー労働者の多くが、ロックダウン中の在宅勤務によってワークスタイルの変化を体験しました。出社・リモートの良い点・悪い点は業務上・生活上でそれぞれあることは理解しつつも、柔軟性を理解しないなんて有り得ない!ということなのだと思います。同じく26%の「ウェルビーイングのサポート」はまさに今日的で、これからの経営者に必須の取り組みとなるはずです。
冒頭で述べたとおり、日本をはじめとしたアジア諸国においては、転職はまだまだ盛んではありません。ちなみにある調査によると、日本人の平均転職回数は0.89回だとか。それに比して「Bureau of Labor Statistics」の2014年の調査によると、アメリカ人の平均転職回数は10回という結果、お国柄は「転職」に関する考え方にもそもそも出ているのですね。
それではまた次回、データで発見☆しましょう!
(世界最大級データポータル「Statista」の記事はこちら:Why People Are Quitting Their Jobs)。