自分の近づきやすさをテストする方法
部下から見て、あなたはどれくらい近づきやすい存在なのだろうか。それをテストする方法は数多くある。悪い知らせを受けとる頻度(自分が、その知らせを聞かされた最後の人間だったかどうかも含む)を追跡してもいいし、従業員エンゲージメント調査を活用してもいい。
また、部下と一対一の対話をする際に、部下がどれくらい率直でオープンであるかを確認するという方法もある。とりわけ、コーチングの機会や、ステイ・インタビュー(Stay Interview:仕事を続ける理由や、退職を考えるきっかけとなる可能性がある理由を尋ねる面接)は、良い機会になるだろう。
だが、近づきやすさをテストする最も簡単な方法は、シンプルに、部下にこんな質問をしてみることだ。「仕事上で不満を感じていることを1つ挙げてみてください。ただし、上司である私には、すぐにそれを是正する権限がある、とあなたが考えるものです」
この質問は、リーダーシップIQが実施した「Frustration At Work(仕事での不満)」調査に由来するもので、部下が本当に安心して上司に打ち明け話ができるかどうかを知るための優れた試金石になる。
なぜ、それほど効果があるのだろうか? 従業員が仕事で直面する不満の一部は、上司が原因になっている。それを打ち明けるためには、上司の側が、かなりの近づきやすさを備えている必要があるのだ。
前述の調査で、従業員が打ち明けた実際の不満をいくつか見てみよう。
・上司が自分のオフィスにこもりきりで、チーム内に蔓延しているいさかいを解決しようとしない。
・私の上司は、答えがどこにあるのか知らないくせに、すべてのリクエストを逐一報告させようとする。そのせいで、自分で直接他の部署へ行くよりも、何日も余分に時間がかかる。
・共同作業をするということでオフィスに社員を呼び戻したのに、会議室はすべて閉鎖されている。社員はソーシャルディスタンスを保たなければいけないので、結局、対面でのミーティングはおこなわれていない。
こうした不満を従業員が安心して上司に直接伝えられるなら、そのリーダーは、最高水準の近づきやすさを備えていると言える。だが、そうした不満の少なくとも一部であっても、部下が打ち明けようとしないなら、あなたがリーダーとして力を注ぐべき点は、もうおわかりだろう。
最後にひとつ。「The Risks Of Ignoring Employee Feedback(従業員のフィードバックを無視してしまうリスク)」調査では、「仕事上の問題を打ち明けたときに、上司が常に建設的な対応をしてくれる」と回答した人は23%にとどまった。だが、「自分の上司は、常に建設的な対応をしてくれる」と答えた従業員は、自分の会社をすぐれた職場として他の人に推薦する可能性が非常に高い。その率は、およそ12倍にも跳ね上がるのだ。