2.軽々に口を開かない
判断、答え、アイデア、提案、アドバイス。こうしたものは、頼まれてもいないときに頭のなかに押し寄せてくるように思える。それらはしばしば、問題と解決策のあいだや、争点と合意のあいだにギャップがあるときに生まれる「小さな不安」によって増幅される。心のなかで猿のように忙しく駆け巡る思考を、意識的にさらに活発化させる必要はない。そうした思考は、朝に目覚めたらおのずと動き出すものなのだ。
オープンかつ柔軟な心をもつために実際に必要なのは、発言せざるを得ないと感じたときに、あえて口を閉ざそうとすることなのかもしれない。中途半端にアドバイスすることは、自分個人の不安を和らげることにはなるかもしれないが、それよりはむしろ、そうしたギャップを沈黙が満たすに任せよう。
自分がなぜそれほどまでに、助言しなくては、考えを述べなくては、サポートしなくては、と感じるのか。その理由について、考えたことはあるだろうか。
実際に助言をしたり考えを述べたりする前に、まずは「W.A.I.T(待つ)」を心がけよう。W.A.I.Tとは、「Why Am I Talking?(どうして自分は話しているのか)」の頭文字だ。
自らに「どうして自分は話しているのか?」と問いかけ、自然と浮かんでくる反応に耳を傾けよう。つい話をしてしまうのは、沈黙が気まずくて耐えられないからだろうか。あるいは、提案や考えをもっていて、すぐに口に出して言わないと忘れてしまいそうだからだろうか。
3.間違えても構わない、という姿勢をもつ
オープンでいるためには、自分の考えがまったくの誤りでも構わないと考えることもひとつの方法だ。たしかに、情熱を傾けて賛同している意見があったり、現在抱えている問題が、道徳的な板挟みとみられる状況を含んでいたりすると、自分が間違っていても構わないと考えるのは、いっそう難しくなる。しかし、オープンな姿勢があれば、いくつもの事実を検討材料として考慮するようになり、より良い結果が得られる可能性が高まる。
筆者がぜひともおすすめしたいのが、著作家バイロン・ケイティが『ザ・ワーク 人生を変える4つの質問』(邦訳:ダイヤモンド社)で提唱する4つの質問だ。「それは本当だろうか」「その考えが本当であると、絶対に言い切れるか」「そう考えるとき、あなたはどう反応するか」「その考えがなければ、あなたはどうなるのか」の4つを問いかけることで、困難に直面していても柔軟に考えることができる。
4.効果的に問う
筆者がオープンな姿勢を維持するために心がけている4つ目の方法は、パワフルな問いかけを行うことだ。「大きな問いかけ」を重要視する、正式な訓練を受けたコーチではなくても、インターネットをちょっと検索しただけで、自分に役立つパワフルな問いかけのリストがたくさん見つかるだろう。
ピーター・ブロック著『Community: The Structure of Belonging』(未邦訳)で挙げられている問いは素晴らしい。そこから2〜3の問いを選んで自らに問いかけてみれば、自らを深く振り返ることができるに違いない。
日ごろから好奇心旺盛な人たちと付き合おう。思い込みになっている前提を疑い、軽々に口を開かないようにし、パワフルな問いかけをいつでもできるようにしておこう。
これらはシンプルなことだが、オープンで柔軟な姿勢を維持するのに、きっと効果を発揮してくれるだろう。