ビジネス

2022.07.31

超単純なモバイルゲームで評価額14億ドルのユニコーン企業の秘密

Getty Images


「35歳以上の女性」がメインターゲット


そして、フェイスブックに勤務していたAkin BabayigitをCOOに迎え入れて、2017年に設立したのがトリプルドットだ。同社のゲームの平均的なユーザーは35歳以上の女性で、最大のヒット作は「Woodoku」という数独とテトリスを組み合わせたパズルゲームだ。6カ月で開発されたこのゲームは、2020年にリリースされて以降、1億ダウンロードを突破している。

アクセス・インダストリーズの社長のダニー・コーエンは、Woodokuが見た目以上に作り込まれたゲームで、膨大な数のA/Bテストを重ねた結果だと述べている。トリプルドットはソリティアゲームでも7500万ダウンロードを達成し、新作のパズルゲームのTriple Tileも現時点で360万ダウンロードを記録している。

彼らの欠点をあげるとすれば、それは独自のIP(知的財産)やキャラクターを生み出していないことかもしれないが、投資家はこのことを理解している。「彼らはフォートナイトを作っているわけではない」とコーエンは話す。「カジュアルなモバイルゲームに競争はつきものだが、彼らはコスト面で優位に立てる。マーケティング費用を十分に捻出できる」と彼は話した。

厳密に数字を追い求めるトリプルドットのチームは、一風変わったマーケティングも行っている。その一つがロンドンの地下鉄の中で、見知らぬ人に話しかけることだという。「隣の乗客が私たちのゲームをプレイしていたら、それは喜ばしいことだ。でも、それが別の会社のゲームだった場合、私は『うちのゲームも遊んでください』と頼むようにしている」とBabayigitは話した。しかし、身長が190センチ近い大男の彼は、いつも人々を怖がらせてしまうのだという。

編集=上田裕資

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