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2022.07.31 07:00

超単純なモバイルゲームで評価額14億ドルのユニコーン企業の秘密

Getty Images

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ゲームの制作は映画製作と同じで長い時間が必要で、コストがかかり、物語やキャラクターなどの細かな要素に執着することで初めて成功するとよく言われるが、ロンドンを拠点とする「トリプルドット・スタジオ(Tripledot Studios)」の創業者たちは、「そんなことは無い!」と断言する。

シンプルなパズルやソリティアなどのモバイルゲームを大ヒットさせている彼らは、ユーザーの動向をエクセルで管理し、リリース後の90日間でユーザーがどれだけ継続してプレイしたかを把握している。

「我々はとても優秀なオペレーターなのだ」と話すCEOのリーオル・シフ(44)は、会社の運営に自信を持っている。

トリプルドット社は昨年、ゲーム内の広告から前年比250%増の2億ドル(約273億円)の収益を上げ、推定約3000万ドルの利益をあげた。同社のゲームの月間利用者数は3000万人を超え、ライトスピード・ベンチャーやアクセス・インダストリーズなどの著名な投資家を惹きつけている。

2021年4月から2022年2月にかけて、2億ドル以上を調達した同社の評価額は、直近で14億ドルとされ、3人の共同創業者たちは合計で約40%の株式を保有している。ロンドンに本拠を置くトリプルドットは、ユーザーの約半分と収益の3分の2を米国から得ている。

ゲームのデザインに関して言うと、トリプルドットは他のゲーム企業のような華やかな要素を全く無視しているし、メタバースにも関心が無い。

近年、コンソールゲームとして注目を集めた「サイバーパンク2077」は、広大なストーリーと世界観が特徴だ。しかし、トリプルドットの最高プロダクト責任者のエイアル・チャメイデス(38)は「2年間をかけて開発に取り組み、マーケティングに1億ドルを費やしても、成功するかどうかは分からない」と話す。

これに対して、創業4年のトリプルドットは、昨年、新作の開発とメンテナンスに800万ドルしかかけずに合計10タイトルを制作した。ゲームでお金を稼ぐ最も簡単な方法は、シンプルで中毒性のあるパズルでユーザーを惹きつけることで、コストのかかる開発を避けることだと彼らは信じている。

CEOのシフとチャメイデスは、ともにイスラエルの出身で、兵役を終えたシフはスタンフォード大学でMBAを取得し、2007年にソーシャルゲームのスタートアップProduct Madnessを設立し、チャメイデスがそこに加わった。

Product Madnessは、ラスベガスをテーマにしたカジノ系のゲームを大量にリリースし、フェイスブックでプロモーションを行って知名度を上げた。2012年にシフは同社をオーストラリア企業のAristocratに8桁台半ばの金額で売却して、数年間はその運営を引き受けていた。
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編集=上田裕資

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