シンプルなパズルやソリティアなどのモバイルゲームを大ヒットさせている彼らは、ユーザーの動向をエクセルで管理し、リリース後の90日間でユーザーがどれだけ継続してプレイしたかを把握している。
「我々はとても優秀なオペレーターなのだ」と話すCEOのリーオル・シフ(44)は、会社の運営に自信を持っている。
トリプルドット社は昨年、ゲーム内の広告から前年比250%増の2億ドル(約273億円)の収益を上げ、推定約3000万ドルの利益をあげた。同社のゲームの月間利用者数は3000万人を超え、ライトスピード・ベンチャーやアクセス・インダストリーズなどの著名な投資家を惹きつけている。
2021年4月から2022年2月にかけて、2億ドル以上を調達した同社の評価額は、直近で14億ドルとされ、3人の共同創業者たちは合計で約40%の株式を保有している。ロンドンに本拠を置くトリプルドットは、ユーザーの約半分と収益の3分の2を米国から得ている。
ゲームのデザインに関して言うと、トリプルドットは他のゲーム企業のような華やかな要素を全く無視しているし、メタバースにも関心が無い。
近年、コンソールゲームとして注目を集めた「サイバーパンク2077」は、広大なストーリーと世界観が特徴だ。しかし、トリプルドットの最高プロダクト責任者のエイアル・チャメイデス(38)は「2年間をかけて開発に取り組み、マーケティングに1億ドルを費やしても、成功するかどうかは分からない」と話す。
これに対して、創業4年のトリプルドットは、昨年、新作の開発とメンテナンスに800万ドルしかかけずに合計10タイトルを制作した。ゲームでお金を稼ぐ最も簡単な方法は、シンプルで中毒性のあるパズルでユーザーを惹きつけることで、コストのかかる開発を避けることだと彼らは信じている。
CEOのシフとチャメイデスは、ともにイスラエルの出身で、兵役を終えたシフはスタンフォード大学でMBAを取得し、2007年にソーシャルゲームのスタートアップProduct Madnessを設立し、チャメイデスがそこに加わった。
Product Madnessは、ラスベガスをテーマにしたカジノ系のゲームを大量にリリースし、フェイスブックでプロモーションを行って知名度を上げた。2012年にシフは同社をオーストラリア企業のAristocratに8桁台半ばの金額で売却して、数年間はその運営を引き受けていた。