コロナ感染3カ月後の後遺症、脱毛など62種類を特定 英研究

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新型コロナウイルスに感染した人の多くが「後遺症」とされるさまざまな症状に悩まされていることは、すでに広く知られているとおりだ。その「ロング・コビット(Long Covid)」とも呼ばれる症状が、実際にはこれまで考えられていた以上に多岐にわたるとみられることが、新たに発表された研究結果で明らかになった。

医学誌ネイチャー・メディシンに掲載された査読済みの論文によると、英国のおよそ240万人の医療記録を分析した結果、感染した約50万人(入院の必要はなかった)が感染から12週間以上が経過した時点で訴えていた症状のうち、62種類が感染の影響によるものと判断されたという。

分析では、対象としたすべての人を感染した人とそれ以外に分け、年齢や喫煙の有無をはじめ、健康状態に影響を及ぼし得る要因を考慮した上で、感染によるものとみられる症状を特定した。

この研究により、すでに報告されていた「倦怠感、嗅覚障害、息切れ」といったさまざまな後遺症の症状のリストに、新たに「脱毛、射精障害や性欲減退を含む性機能障害」などが付け加えられることになった。

新型コロナウイルス感染の影響は、これまで考えられていた以上に幅広い器官系に及んでいるとみられる。それらはおおまかに、次の3種類に分類することができる。

・呼吸器症状─咳や息切れなど、
・認知障害/メンタルヘルスの問題─不安、うつ、ブレインフォグ(脳にモヤがかかったような状態)など、
・その他─痛み、倦怠感、発疹など、より幅広く報告されているさまざまな症状

そのほか研究チームは、分析の結果、「女性、黒人、少数民族、喫煙者(元喫煙者を含む)、社会経済的地位が低い人、過体重または肥満の人たちに、後遺症を経験する人が多い傾向が示された」と説明している。

また、感染する前から片頭痛がある人、セリアック病(グルテン過敏性腸症)、多発性硬化症、線維筋痛症、不安症、うつ病と診断されている人は、後遺症の症状が長引く可能性が高いという。
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編集=木内涼子

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