症状を引き起こすのは免疫反応?
後遺症が残る原因は、まだ明らかにされていない。そのため治療法も確立されていない。また、これまでに収集されたデータによれば、ワクチンに後遺症の発症を予防する効果はほとんどないとみられている。
後遺症が長く続く理由として考えられているのは、血栓ができることやウイルスが長く体内に残ること、一部の免疫反応などだ。
論文の筆頭著者である英バーミンガム大学応用衛生研究所の研究員、アヌラダ・スブラマニアンは、今回の研究で得られた結果は、原因を探る研究者らが注意を向けるべきポイントを絞り込むことに役立つとだろうと述べている。
また、後遺症に免疫系の働きが関与しているとみられることを考えると、男性よりも自己免疫疾患の患者が多い女性の方が後遺症のリスクが高いとみられることは、特に興味深い点だと指摘している。
「ロング・コビット」は後遺症と考えられる症状全般を指す言葉であり、その医学的な定義はいまだ明確ではない。だが、これまでの研究によって、新型コロナウイルスが人体のほぼすべてのシステムに影響を与えるものであることは明らかになっている。
米国では約1800万人に後遺症
一方、米疾病対策センター(CDC)によると、米国で感染後に回復した5人に1人が、後遺症に悩まされているとみられている。すでに9000万人以上が感染していることから(2回以上感染した人も含まれるが)、後遺症に苦しんでいる人はおよそ1800万人にのぼると推測できる。また、感染による死者は、100万人を超えている。