ビジネス

2022.07.25

個人の熱狂と自然体が生み出す「オルタナティブ起業家」の多様な価値創造

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発売中の『Forbes JAPAN』2022年9月号の特集「インパクト100」では、世界的な新潮流とも言える「インパクト」という概念にフォーカスした。社会課題の解決と、事業成長・財務リターンを両立し、ポジティブな影響を社会に与えることを意図し、利益追求と公益利益の達成という二兎を追うことを目指す概念だ。

資本主義のアップデート、再構築の中心的役割を担い、これからの経済、社会の「新しい主役」となり「ポジティブな未来」をつくる、大企業、スタートアップ、投資家、資本市場など、世界で躍動し拡張している「インパクト・エコシステム」の全容を見ていく。

特集では、「新しい起業家」像が世界、そして日本でも生まれ始めている「オルタナティブ起業家」に注目。独自の価値観を追求する起業家が共感を集め、結果として事業や組織も成長している。


古市奏文(以下、古市):私が所属している社会変革推進財団(SIIF)では、新たな資本主義のあり方を構築するために、これまでアクセラレータープログラムなどの運営を通して、新しい手法や経営コンセプトを開発してきました。そのなかで、「ソーシャルインパクト」の創出を行うひとつの存在として、個人的な「好き」という感情に基づき、実現したい未来をしなやかに追求する「オルタナティブ起業家」という存在に注目し始めています。

これまでのスタートアップ起業家や社会起業家とも異なるスタイルで事業展開する「新しい起業家」たちの思考を探るべく、私が注目する3社にお集まりいただきました。まずは事業内容を教えてください。

しなやかに未来を追求する


半田光正(以下、半田):GOODGOODは、私や共同創業者の野々宮秀樹をはじめ、世界中で食べ歩きをするほど肉が大好きな経営者たちが設立した企業。「自分たちが食べたい」「家族にも食べさせたい」を基準にして、牧草栽培から牧草和牛等の生産から加工、卸売り、精肉店や飲食店までを一気通貫で手がける「次世代型畜産ベンチャー」です。

熊本県阿蘇産の牧草和牛、北海道産の放牧豚などを扱い、おいしいお肉を1000年後も食べ続けられるように、再生エネルギーやIoTによるファームテックの活用、生産情報や動物福祉などの情報開示に耐えられる畜産形態を通して、安定的で、持続可能な畜産業を模索しています。

藤代健介(以下、藤代):僕らはウェルビーイングな生活習慣を実践する人たちが集うプラットフォーム「Nesto」を運営しています。ヨガや散歩、瞑想といったさまざまな領域で活躍しているホストが、自分の心や体と向き合う習慣をオンライン上で行い、会員がその習慣に相乗りしながら生活習慣が身に付く場所をつくりました。

昔から「人の生きる道」に興味があり、古今東西の修行を経験してきた結果、よりよく生きるために大切なのは修行のような特別な経験ではなく、日常の習慣を大切にすることだと気づいたことが起業のきっかけです。私が実現したいのは、Nestoにかかわるすべての人がウェルビーイングな状態になり、一人ひとりからあふれ出る喜びをお裾分けし合う文化をつくることですね。
次ページ > 「顧客と企業」ではなく「同じ目標に向かう仲間」

この記事は 「Forbes JAPAN No.097 2022年9月号(2022/7/25発売)」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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文=一本麻衣 写真=若原瑞昌

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