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2022.07.24

米飲食業界で高まる「悲観論」、大不況以来の水準に

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2年以上にわたって新型コロナウイルスのパンデミックが続くなか、感染対策として実施された営業規制や、飲食店の利用に対する不安が引き起こした需要の減少で、外食産業は大きな打撃を受けた。

感染状況が落ち着いた時期には、消費者の間に間違いなく“繰り越し需要”があることが示された。また、規制の緩和が需要を後押しすることも明らかになった。パンデミックの影響でおよそ10万軒の飲食店が閉店したこの業界に、これらはわずかながらも先行きへの楽観的な見通しをもたらしたはずだ。

だが、“繰り越されて”きた需要に対応するために必要となる十分な労働力と製品の供給は現在、必ずしも容易に確保できるものではなくなっている。飲食店を経営する事業者たちは、歴史的な水準となっているインフレ圧力への対応に追われている。

打ちのめされてきた事業者たちは、疲弊している。一方で、経営が厳しい飲食店などを支援するための救済法案が連邦議会上院で可決されなかったことは、政府からの支援にもあまり期待ができないということを意味する。

つまり、事業者たちの大半がいま、先行きに悲観的になっているのも無理はないということだ。全米レストラン協会が新たに公表したデータによれば、6月に実施した調査の結果、向こう6カ月間の状況について43%が「悪化する」と考えていたことが分かっている。

これだけの割合の事業者たちが「悲観的」になっているのは、2008年の大不況のとき以来だ。また、悲観論が40%以上を占めたのは、過去20年間で2度目だという。

なぜこれほど多くの事業者たちが悲観的になっているのかといえば、それは前述のとおり、労働力が不足していること、そしてインフレの長期化が続くと予想されるためだ。そして、新型コロナウイルスの流行が容赦なく続いているためだ。

食品価格は前年比で、10%以上値上がりしている。さらに、調査会社ライトスピードによると、食品価格はインフレ率を上回るペースで上昇しており、インフレ調整後の飲食店の実質的なマージンは、2021年5月からの1年間で減少している。
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編集=木内涼子

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