自閉症の人のための技術キャリアの増やし方

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さらに「Science, Technology, Engineering, and Mathematics(STEM)Participation Among College Students with an Autism Spectrum Disorder(自閉症スペクトラムを持つ大学生の科学・技術・工学・数学(STEM)教科学習実態)」という研究によると、自閉症の人たちは未開発のSTEM才能のプールであることを支持する証拠があるという。それによれば、「ASDとされた若者は、STEM関連分野を専攻する割合が他の障害者グループよりも高い(34.31%)」という。しかし、この研究では、自閉症の学生がSTEMの研究分野に入り、その学位を取得するためには、より多くの行動と協調的な支援が必要であると論じている。

技術系企業への自閉症者雇用の働きかけ


近年は、より多様な人材を採用するための取り組みが進んでいる。このような取り組みには、ニューロダイバーシティや自閉症型の人も含まれるはずだ。多様な人材を採用することは、多様性への真のコミットメントを示せるだけでなく、企業全体にとっても有益なことだ。

ストリーダは「自閉症の人は、細部にまで気を配ることができ、学習能力も高いので、さまざまな企業や業界に貢献できると思います」と語る。「繰り返し作業や細かい作業が多い技術系やIT系の業界には、そうした人たちに適した仕事が多く見つかりやすくなります」

ムチバビシは「ニューロダイバーシティの人たちが職場にもたらす利点やユニークな特性も同様です」とつけ加える。「ですから、インクルーシブな職場の育成に努める企業は、自閉症者の新たな雇用機会を創出し、雇用格差(現在失業率は80%以上と言われている)の縮小に貢献できる機会を検討すべきです。自閉症者が本来得意とし楽しむことができるスキルである、視覚的な集中力とルーチンワークの実行を必要とする仕事を特定することによって、企業は、生産性、サービス品質、革新的能力、従業員のエンゲージメントを向上させることに加えて、人材プールを増やすことができるのです」

また、いくつかの研究によると、ソフトウェアのコードに誤りがないかチェックする際には、自閉症のコンサルタントの方が、非自閉症の同僚よりも平均して10%多くバグを発見していることも注目に値する。アクセンチュア、米国障害者協会(AAPD)、Disability:INが行った調査によると、自閉スペクトラム症の人を採用した企業は、同じ状況の他の企業と比べて、平均で28%の増収、2倍の純利益、30%の高経済利益率を達成したという。
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翻訳=酒匂寛

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