ビジネス

2022.07.23 12:30

「高齢者」の中にある多様性が秘めるビジネスチャンス


ゴールデンは「多くの国では近い将来、年配層が若者の数を追い抜く」と説明。「この変化により大きなビジネスチャンスがもたらされるが、年配の顧客に関する時代遅れの認識や思い込みにより、企業は経済的・文化的な損害を受けている」と指摘した。

重要なのは、人生を「学ぶ」時期と「稼ぐ」時期、そして「引退後」の時期という3段階に分ける従来モデルを捨て、現代社会における加齢の現実をより正確に反映した新たなモデルに移行することだ。

ゴールデンは「まずは、顧客層をより詳しく理解すること。一集団としてくくられてしまいがちなグループの中にも驚くべき多様性があることが分かる」と続けた。

これまで、高齢者には実質的な需要があまりないと考えられてきた。しかしゴールデンによると、年配層には健康や教育、仕事、旅、ファッションなどさまざまな分野で非常に異なるニーズがあり、各分野にはさらに複数に細分化されることも多い。

学習と就労


例えば、平均寿命が延びることで、人生を通じて学習したいというニーズがより大きく出てくる。学習は、年配者がより長く働けるような価値のあるスキルの取得のみならず、社会的つながりの構築や孤独・孤立といった社会問題への対処にもつながる。

加齢についての認識は、ビジネスの視点からも考え直す必要がある。経済の各分野で深刻なスキル不足が生じていることを踏まえると、退職年齢を過ぎたというだけの理由で、今後最大の人口セグメントになる層を軽視するべきではない。

しかし、年配の労働者が働けるようにするには、仕事の内容や条件を再考する必要があるだろう。家族の介護を担っている人を雇うには、職務内容に大きな柔軟性を持たせる必要があるかもしれない。若手が自分より上の立場の社員のメンターとなる「リバースメンタリング」は世代を超えたつながりを構築し、両者にメリットをもたらすかもしれない。金銭面の報酬と同じくらい仕事の「意義」を求める人材を引きつけるためには、自社がもたらす社会的価値を強調する必要があるかもしれない。

ゴールデンは「長寿化により、社会・経済・健康面などで多くのメリットがもたらされる」と指摘。「しかし長寿市場が栄えるためには、方針や文化的態度も変化する必要がある」と述べている。

編集=遠藤宗生

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