経済・社会

2022.07.22 12:00

YouTubeが「中絶に関する誤情報」を排除、信頼できるソースに誘導

Getty Images

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ユーチューブは7月21日、科学的裏付けのない危険な中絶手術の指示を与えるコンテンツや、中絶手術が不妊の原因になるなどの事実ではない主張など、中絶に関する誤った情報を世界中のプラットフォームから排除すると発表した。

米最高裁は先月、人工妊娠中絶の権利を認めた「ロー対ウェイド事件」の判例を覆し、中絶を連邦憲法上の権利としては認めない立場を示したが、それ以降、大手SNS企業らは誤情報の拡散を防ぐ取り組みを進めている。

ユーチューブは、健康関連のトピックに関し「信頼できるソース」からのコンテンツで人々をつなぐことを優先し、社会の動きに応じて「ポリシーと製品を継続的に見直していく」とツイッターの投稿で述べた。

同社はさらに、中絶関連のコンテンツに情報パネルを表示し、ユーザーを信頼できる情報源に誘導することを計画している。このポリシーは21日に施行され、パンデミックや選挙関連などの同社の既存の誤情報に対するポリシーに追加される。

専門家は、6月の最高裁の判決をきっかけに、中絶に関する誤った情報が急増していることに警鐘を鳴らしている。TikTokやフェイスブック、ツイッターなどでも薬草やハーブを使って中絶を試みるなどの危険な動画がシェアされている。

CNNによると、TikTokは同社のポリシーに違反する中絶に関する動画の削除に取り組んでいるという。一方で、ユーチューブは近年、誤情報の拡散に十分な対策を講じなかったとして、ファクトチェック団体から非難を浴びている。

ユーチューブの親会社であるグーグルは先日、中絶手術を行うクリニックを訪れたユーザーの位置情報を自動的に削除することを宣言した。これは、中絶が違法とされる州で中絶手術を受けようとする人々を、当局が告発する際にそのデータが利用されることを防ぐための施策だという。

グーグルによると、米国の法執行機関は近年、頻繁にグーグルにデータの開示を求めており、2020年上半期に発付されたデータの提供を求める捜査令状や召喚令状は4万件以上に達していたという。

編集=上田裕資

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