例えば「HafH(ハフ)」のように、いろいろな地域で多拠点生活ができる居住体験を提供するサービスが広がりを見せるのも、そういったニーズが高まっていることの証しだろう。リモートでの仕事が可能となったからこそ顕在化したともいえる。
北海道の上川町をご存じだろうか。北海道の中央部に位置し、旭川や富良野にも比較的近い場所で、日本最大の山岳自然公園「大雪山国立公園」を擁するため、水や温泉に定評のある地域だ。先日、その上川町が主催するコミュニティのオフラインイベントに行ってきた。開催地は、東京の銀座だ。
気鋭の酒蔵「上川大雪酒造」が2017年にオープンする際、Makuakeを利用していただいた関係で、上川町には勝手な親近感を感じていた。だが、今回イベントに誘ってくれたのは、上川町とは特に縁もない岐阜県羽島市が本拠の三星グループ(ヨーロッパの世界的ブランドからも指名される繊維メーカー)の代表、岩田真吾さんだった。
「今度、銀座で上川町のイベントがあるから来てよ」と、完全に「中の人」のような口ぶりに驚いたのを覚えている。聞けば最近、上川町のコミュニティパートナーに就任したという。
なぜ縁もゆかりもない町のエバンジェリストにまでなったのか不思議だったのだが、いわく、地元以外のどこかに、親近感がもてる「新しい地元」を望んでいたことに気づいたとき、たまたま上川町の役場職員が声をかけてくれて縁ができた、とのことだった。30人ほどが参加するイベントだったが、聞く人聞く人、そもそも上川町に縁はなく、自分のもうひとつの居場所となる町を求めていたと口を揃える。そして、岩田さんと同じように、上川町の町役場職員に声をかけてもらったという。