目標台数を上回る勢い。日産初の軽EV「サクラ」が好調な理由

発売後人気急上昇の日産「SAKURA」


ただ、2つ気になった。ひとつは、ステアリングホイールにテレスコが付いていないので、背の高いドライバーは自分にあったドライビングポジションが取りにくい。もうひとつは、日産側は、サクラは非常に静かというけど、実際にはエコタイヤからロードノイズなどがあるので、それほど静粛性が良いとは言い難い。

サクラの「S」グレードは233万円で55万円の補助金を使うと実質購入価格は約178万円。ガソリン軽自動車のターボ版とほぼ同じだ。航続距離はWLTCモードで180kmとメーカーは言い張るけど、リアルワールドでは140〜150kmが正確だろう。これだけの金額だと、購入のハードルは大幅に下がったと言える。ただし、「プロパイロット」や「日産コネクトナビ」などが標準装備されている最高グレードの「G」は294万円(補助金を差し引けば約239万円)。

後ろから見たSAKURA

高速道路の単一車線での運転支援技術「プロパイロット」や、駐車時にステアリング、アクセル、ブレーキ、シフトチェンジ、パーキングブレーキのすべてを自動で制御する「プロパイロット パーキング」などの先進技術のオプションを、多くの顧客が選んでいるようだ。

キャビンの広さ

サクラに乗って思った。これまでコンパクトなEVに乗りたい、あるいは乗り換えたいとずっと考えてきた人からみると、ついに登場したサクラはうってつけかもしれない。内装はルーミーで上質感、加速性はターボ車の倍ほど速い、コーナリング性能はフラットでロールしない。しかも55万円の補助金を引いた178万円のリーズナブル価格は無視できない。でも、面白いことに、顧客は高いグレードを選択する傾向があるらしい。

約4割近い購入者が最上位のGを選択しているし、またアラウンドビューモニターは、7割以上がセレクトしている。ただ、充電インフラがまだ整っていないし、リアルワールドでの航続距離は150kmということで、やはりユーザーの多くは、セカンドカーとして購入するはずだ。

国際モータージャーナリスト、ピーター・ライオンが語るクルマの話
「ライオンのひと吠え」 過去記事はこちら>>

文=ピーター ライオン

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