ソニーがついにPCゲーミング市場進出 培ってきた「高画質・高音質」で挑む

ソニーがPCゲーミング市場に本格参入。新ブランド「INZONE(インゾーン)」を立ち上げた


ゲーム大会への協賛、インフルエンサーマーケティングの両側から攻める


インゾーンはこれから、ゲーミングギアの性能にもシビアにこだわるコアなゲーマーの関心を大いに惹きつけるだろう。ただ、インゾーンのラインナップはライバルが展開する商品よりも価格が数段も高い。ソニーの技術力に裏打ちされた「勝てる」パフォーマンスを、本気のPCゲーマーたちに証明する体験の場が必要だ。


INZONEのゲーミングモニターによる視聴感のイメージ。下が一般的なゲーミングモニターの映像だとすれば、上のINZONEの映像は暗部に隠れた被写体の情報がより豊富に再現される

ソニーもその必要性を十分に認識しており、オフラインとオンラインの両側からファンとのコミュニケーションを深めるマーケティング戦略を練っている。

オフラインではeスポートの大きな大会への協賛、ブースの出展に力を入れる。昨年、2021年にグループ会社のソニー・インタラクティブエンタテインメントがRTSと共同で買収したEVOをはじめDOTA 2、Valorant Champions、CROSS FIREなど人気の大会とのコラボレーションが検討に上がっているという。

オンラインではYouTubeなどの動画配信プラットフォームを活用したインフルエンサーマーケティングをスタートした。影響力を持つ人気のプロゲーマーがインゾーンのパフォーマンスにお墨付きを与えれば、ECサイトでゲーミングギアを買い求めるファンの購買意欲を刺激しそうだ。


ソニーが開設したインゾーンの特設サイトでは、人気YouTuberやストリーマーを起用するオンラインプロモーションがスタートしている

実際に支えるのは「古くからのソニーファン」?


ソニーはインゾーンをPCゲーミングのブランドとして立ち上げることに全力を注ぐ構えだが、一方ではPlayStationのユーザーを強かに獲得することも狙っている。モニター、ヘッドセットの上位製品には、最新のPlayStation 5と接続した時に映像や音の設定を自動で最適化する機能を設けている。実際に、インゾーンのデビューは献身的な「PlayStationゲーマー」たちに支えるのではないか。

画質と音質に優れるインゾーンのデバイスはさまざまな用途に「つぶしがきく」と筆者は感じた。例えばモニターはデジタルカメラで撮影した写真や動画の編集作業にも向いているし、クリアな通話音声ができるボイスチャット用マイクを搭載するヘッドセットはリモートワークにも重宝しそうだ。ソニーの狙いとは裏腹に、筆者が属する40〜50代を中心とするソニーというブランドに強い憧れを抱く層が、気前よくインゾーンのハイクオリティなギアを買い求める姿も目に浮かぶ。

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
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編集=安井克至

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