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2022.07.02 10:00

障がい者雇用から学ぶ、多様性をいかす組織の作り方

photo by shutterstock.com

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筆者はライフワークとして追求しているスポーツから、意外にもビジネスへのヒントをたくさん見出すことができました。今回はもう一つライフワークとして追求している障がい者の就労を通して得た、ビジネス面での学びをお伝えしたいと思います。

私が発達障がいを持つ方の就労に興味を持ったのは、日米の就労環境の違いを目の当たりにしたからです。米国では発達障がいを持つ方の就労数が多く、所得水準も平均に近い水準であり、納税者として活躍しております。一方日本では、就労数は少なく、所得も低く、福祉の受給者であることが多いです。この差は就労の環境であり、日本の就労環境が社会的弱者を生んでいると言っても過言ではありません。

その課題を解決する一助になろうと、2019年に発達障がいに特化した就労環境「アクセンチュアサテライト」を立ち上げ、現在約70名のメンバーが就労しています。このプロジェクトからは、障がい者の就労に対する知見はもとより、本質的な組織作りの要諦を学ぶことができました。「サテライトオフィス」での取り組みを紹介しながら、多様性のある組織をまとめ成果を出すポイントをお話しします。

障がい者に特化したオフィスの必要性


アクセンチュアサテライトは、2019年に開設した「サテライト生麦」(横浜市鶴見区)を皮切りに、現在では横浜市と立川市で4つのオフィスを運営しています。

この4つのサテライトオフィスで行われているのは、データ入力やデータ更新、文書管理やリサーチ、機械学習用のサンプルデータ作成など、アクセンチュアで恒常的に発生する200から300種類程度の管理系業務です。

ではなぜ、精神障がいや発達障がいのある社員に特化したオフィスを作る必要があったのでしょうか。それは身体障がい者に比べ、雇用数や就労賃金が相対的に低い現状があるからです。

民間企業の障がい者雇用における課題


雇用状況グラフ
出典:厚生労働省による障害者雇用状況の集計結果と障害者雇用実態調査の結果(平均賃金は2018年のデータで単位は万円)

障がい者に任せる仕事内容も単純作業が主体で、必ずしも個人の特性に配慮されているとは言い難い状況も、彼ら、彼女らの能力開発を阻害している可能性があります。

就労環境を整え、個々のパフォーマンスを引き出す


サテライトオフィスを立ち上げるプロジェクトに、行動心理学者の奥田健次先生に協力を仰ぎ、示唆に富む二つのアドバイスをいただきました。一つは「当事者は常に正しく、問題の原因は環境にある」ということ、もう一つは「行動に徹底して着目する」ことです。

一つ目に挙げた「当事者は常に正しく、問題の原因は環境にある」というのは、ミスの多発や勤怠不良など、問題行動に直面したときの判断基準といえます。管理者が問題を起こした当事者を叱責するなどして、行動を改めるよう要求するのとは逆に、問題行動を誘発する環境要因をなくすことによって問題の発生を抑えようという考え方です。
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文=中村健太郎(アクセンチュア)

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