中絶の権利認める「ロー対ウェイド判決」を覆す判決 米国人はどう考えているのか

Getty Images


ピュー研究所の調べでは、特定の宗教を信じる米国人は、そうでない人(82%が中絶は合法であるべきと考えている)よりも中絶に反対する傾向がはるかに強いことが明らかになった。しかし白人の福音派プロテスタント(77%が中絶は違法と考える)を除き、調査対象となったすべての宗教グループ(白人の非福音派、黒人プロテスタント、カトリック)で、中絶の権利を支持する割合が高い。

女性の62%が中絶を合法化することを望んでいるのに対し、男性は56%で、女性の方が男性よりも中絶を支持する傾向が若干強い。

アジア系アメリカ人が最も支持している。ピューの世論調査では、どの人種も中絶が合法であることを支持しているが、黒人(67%が合法であるべきと考えている)とアジア人(68%)では、白人やヒスパニック系の回答者(それぞれ57%と58%)よりも高い支持率であった。

支持率は年齢とともに低下する。ピューの世論調査では、中絶を支持するのは18〜29歳が最も高く(67%が合法と考える)、30〜49歳では61%、50〜64歳では53%、65歳以上では55%であった。

学歴が上がるにつれて支持率は上がる。ピューの調査によると、大卒者の68%が合法化を望んでいるのに対し、ある程度の大学を卒業した人の61%、高卒以下の人の50%が合法化を望んでいる(ワシントンポスト/ABCの世論調査でも同様の相関が見られた)。

中絶の権利を支持する親は少ない。All In Togetherが9月にLake ResearchとEmerson College Pollingと行った世論調査では、テキサス州のほぼ全面的な中絶禁止に反対するのは、子供がいる人の36%に対し、子供のいない人は54.9%。Post/ABCの世論調査では同様に、最高裁判所がロー対ウェイド判決を支持することを望む親は58%に対して、親でない人は62%だった。

都市部ではより多くの支持を集めている。中絶の権利を最も支持しているのは北東部で、中西部の58%、南部の53%、西部の66%に対して71%がウェイド裁判の支持を望んでおり、都市部の住民は郊外や農村部の住民(それぞれ56%と57%)よりもウェイド裁判を支持(69%の支持)する傾向があることがPost/ABCの調査で明らかになった。

支持率は所得水準に応じて上昇する。Post/ABCの世論調査では、年収5万ドル(約680万円)以下の人々の59%が、裁判所がこの法律を支持することを望んでいるのに対し、年収2万ドル(約270万円)以上の人々の62%が、この法律を支持することを望んでいることがわかった。

翻訳=溝口慈子

ForbesBrandVoice

人気記事