しかし、多くの新興国がそうであるように、ホンジュラスも雇用と食料を必要としている。そこにホンジュラスをはじめ、熱帯雨林を有するアジアやアフリカの諸国が直面するパラドックスがある。温室効果ガスを大気中から吸い上げるのに森林が最も効果的だが、そうした木々を木材として伐採したり、土地を農地として利用することも可能なのだ。先進国はこれらの国に対し、森林を維持するよう働きかけている。しかし、木には価値がある。生み出されるはずの機会費用だ。
先週、ドイツのボンで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP)では、このテーマにスポットが当てられた。ひと言で言えば、国連はこれらの国々が森林を維持するために補償する、つまり死んだ木より生きている木の方が価値があるようにするための資金メカニズムを採用する必要があるということだ。そのために、2015年のパリ協定では「森林減少および森林劣化の回避による排気ガスの削減(REDD+)」が承認された。これは森林を保護した国に報酬を与えるもので、自然を基盤とした解決策だ。
ホンジュラスのエネルギー・環境・鉱山担当副大臣マルコム・B・スタフケンスは筆者とボンで対談し、「我が国の人口の70%が貧困状態にある」と語った。「人々は生きていかなければならない。お金も食料も必要だ。メカニズムを要する。そうでなければ、土地や森林を売ってしまう。伐採しないように我々は彼らにお金を払わなければならない。そうすれば、人々はお金がある状態で他の生計手段を持つことができる。移住も防げる。ニーズは差し迫っている」。