つまり、賢明さとは、相手を理解しようとする姿勢と、異なる意見を大切にする姿勢の両方を要求するのだ。他者の視点に耳を傾け、そこから学ぼうとする純粋な気持ちがともなっている場合には、論争が学習を手助けしてくれる。そして、歩み寄りが前に進むための燃料になるのだ。それは、最善の行動指針を見つけるために複数の視点を取り入れる、賢明さの真骨頂だ。
4. 自分との距離
賢明さを育むには、距離という視点が特に有用だ。ウォータールー大学のシミュレーション研究によれば、人は自分のことを三人称で考えると、より賢明な選択をできる傾向にあることがわかっている。三人称で考えることで、判断を鈍らせる個人主義的な感覚が取り除かれ、より客観的な思考の役にたつ。
ここから得られる教訓は、難しい選択について考えを巡らせるときには、少し視点を変えて、あまり感情的にならず、距離を置いて自分のことを考えよということだ。長期的な視点で見た場合、自分はどのように振る舞うだろうか? あるいは、他の人ならどうするだろうか? 後でこの決断を振り返ったときに、自分はどう思うだろうか? このような質問は、視野を広げ、より賢くなるための役に立つ。
5. 自分の直感を信じる
ウォータールー大学の研究ではまた、人間が自分の拍動により注意を向けると、より良い判断ができる傾向があることがわかった。賢明さとは純粋に頭から生まれると思われているかもしれないが、心が果たす要素もあるのだ。
状況に対する自分の反応を精査し、自分の直感を信じよう。物事を合理的に判断した上で、直感と情緒を働かせよう。自分自身の反応に目を向けることで、自分の価値観や情熱を知ることができ、より賢明な判断ができるようになるのだ。
賢明さがあると自分に言い聞かせる
賢明さの大きな部分を占めるのはその視点だ、最善の選択肢を見極めるために自分を十分に客観視するのだ。また、自分や他人を意識することも大切で、そのことで複数の視点を心に持つことができる。そして、賢明さで未来を考えるのだ。最終的に、未来に希望を持つためには、未来とともにやってくる不確実性を受け入れることが必要だ。そして、現在と未来のために最善の決断を下すためのスキル、柔軟性、そして賢明さが自分にあることを自分自身に言い聞かせよう。