コロナ禍からの回復景気が過熱し、需要はどんどん強くなる一方で、人材不足は全業種に波及。海運や輸送が滞り、供給が追いつかないため物価は上がる一方なので、抑制措置として一気に0.5%の引き上げとなった。
コロナ禍でいったんバラまいたお金がまだまだ市場にジャブジャブと余っていて、マネーサプライ(通貨供給量)も約21.8兆ドルと過去最高値となっており、2013年の倍である。FRBはこの状況を改善するために金利を上げ、市中の資産圧縮を6月から始めるなど、荒療治を行なっていく。
一方、4月の全米の消費者物価指数は、前年同月比で8.3%と高い伸びを見せ、エネルギーや食料の価格を除くコア指数でも6.2%の上昇となった。
ニューヨーク市のガスステーションではガソリン価格も「1ガロン(約3.785リットル)$5」という表示も目に付くようになった。昨年比では30%近くの値上がり、車での外出も控えたくなる。
ニューヨークの食料品店(Spencer Platt / Getty Images)
卵(1ダース)も全米平均価格は、2020年8月では1.32ドルだったが、いまや2.52ドルと倍になっている。ニューヨーク市では$4後半の価格も目に付く。経済活動再開の勢いを反映した需要の強さと、物流や人手不足により供給が追い付かないことに由来するギャップが、消費者物価指数を押し上げており、インフレの状況がはっきり見てとれる。
コロナ禍の後にやってくる「大転職時代」
経済活動は活発になりつつあるが、人々のワークスタイルには明らかな変化が見られる。職場に毎日通う生活スタイルよりは、リモートワークを継続したいという人たちも多い。またその影響か、同じ職場に復帰するよりは転職すれば賃金も上がることを見越している人たちも少なくなく、どうやら「大転職時代」を迎えている。
転職が活発になると、次の人材を補充するまでの期間の労働力不足も、供給の遅れにつながっていて、インフレ要因の1つとなっている。また、新規雇用した人の時給を引き下げると転職してしまうので容易に下げられないため、長期的には賃金の上昇分がサービス価格に転嫁されていく。