犯罪者の巣窟に? アメリカのモーテルで起きている異変と対策

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アメリカ大陸を旅する際の醍醐味でもある、ハンドルを握ってのドライブ旅行。その旅行に欠かせないのが、幹線道路沿いにある宿泊施設、モーテルだ。

「モーテル(motel)」とは、文字通り「自動車(motor)」と「ホテル(hotel)」を組み合わせた造語。アメリカでは自動車旅行の隆盛とモーテルの建設はシンクロしており、 1950年代にアイゼンハワー大統領が全米にインターステートハイウェイという高速自動車道路をめぐらした頃に定着し、全米の高速道路のランプウェイに建ち並んだ。

モーテルは長距離トラックの運転手にとっても不可欠な存在であるし、またモーテルを住居代わりにしている人もアメリカには多い。そのモーテルの存在が、いまアメリカで問題となっている。犯罪者の巣窟になっているというのだ。

モーテルは料金がリーズナブル


日本からの旅行客がアメリカを陸路で旅するとしたら、最初はバスツアーを選択するかもしれない。しかし、どこかの時点からレンタカーを借り、自分でこの大地を自由に走ってみたいと思うはずだ。

そのくらい、外国からの旅行客にとっても、アメリカほど車での移動がしやすい国はおそらくなく、それには旅先でのモーテルでの宿泊の簡便さまでが含まれている。

厳密な定義は存在しないが、モーテルは基本的に車を利用して移動する旅行者のためのホテルなので、駐車場が完備されていることが前提だ。一般的にホテルと書いてある宿泊施設より料金が割安だ。

部屋に通じる通路は屋外にあるのが一般的で、自分の部屋のドアを開ければそこには駐車場があるはずだ。なので、車を自分の部屋のドアの真ん前につけて、トランクから荷物を出したらすぐにも運び込めるという利便性があり、「移動中」の長距離旅行者にありがたい。

また、トラック用の広い駐車スペースもたいてい建物の裏側には確保されているから、ホテルから宿泊を敬遠されるトラック運転手には助かる。さらに、モーテルのまわりには、たいていファミレスとガソリンスタンドがあるので、翌朝の出発も素早くできる。

1980年代に、友人とアメリカ横断旅行をした筆者にとっては、走れるだけ走って、疲れたらモーテルの大きなサインに呼び込まれるように車を停めて、簡単にチェックインを済まし、また翌朝出発するという旅行スタイルはとても快適だった。

まさにこれがアメリカの「トラック野郎」スタイル。当時はまだインターネットがなかったので値段を事前に調べようがなかったが、「モーテル」と看板が出ていれば料金はリーズナブルであることがほぼ約束されていた。
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文=長野慶太

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