米サッカー連盟、代表選手の男女同一賃金に至るまでの経緯

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米国サッカー連盟(USSF)は5月18日、同国代表チームに対して男女同額の賃金と賞金を支給するという、歴史的な内容の新たな労働協約を結ぶことで合意した。

これは、ワールドカップで4回優勝の実績を持つ女子代表チームが、過去数年にわたって男女同額賃金の保障を求めて続けてきた戦いが実を結んだものだ。

男女それぞれに締結され、2028年まで適用されるこの労働協約には、FIFAワールドカップを含むすべての国際大会で、男女同額賃金を保障する内容が含まれている。

国際サッカー連盟(FIFA)からの賞金の支給額を男女同一とするのは、サッカー代表チームを統括する各国の競技団体としては米国連盟が世界初となる。具体的には、2022年の男子のワールドカップおよび2023年の女子ワールドカップから、男女の代表チームが受け取った賞金をプールし、2等分することで、同額支給を実現する。

さらに、代表チームでの試合出場に伴う試合ボーナスについても、男女同額が支給されることを同連盟は明らかにした。

今回の労働協約締結の約3カ月前にあたる2月23日、米国連盟は、女子代表チームのメンバーが男子代表との賃金格差解消を求めて起こした訴訟で和解に合意していた。

合意内容では、連盟は和解の一環として総額2400万ドルを支払うとともに、代表チームに支払われる賃金を男女同額にすると誓約していた。

さらに米国連盟は今回の合意で、放送権料の分配金、パートナーおよびスポンサーからの収入、ホームゲームで販売するチケットから得られる利益についても、今後は男女チームで2等分することを約束した。

2018年に開催された男子のサッカーワールドカップでは、優勝したフランスの男子代表チームは賞金3800万ドルを獲得した。これに対して、2019年の女子ワールドカップで優勝した米国の女子代表チームが得た賞金は400万ドルだ。FIFAからの優勝賞金には、男女間で実に3400万ドルの開きがあることになる。
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翻訳=長谷睦/ガリレオ

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