パワハラ対策には保険の加入も一案
企業のパワハラ対策の詳細についてはここでは触れないが、それらに加えて、万が一に備えて「ハラスメント保険」の活用もおすすめだ。
正式名称は「雇用慣行賠償責任保険」という少し難しい名前の保険で、なじみがない人も多いかもしれない。
「雇用慣行賠償」とは、会社の管理責任が原因で従業員に対して発生した損害賠償のことを指す。職場内で従業員に対する精神的な苦痛や権利の侵害があり、その結果、損害賠償請求が行われた場合にその支払いの補償を受けることができる。
企業が契約者となって加入し、基本的には、ハラスメント行為への適切な対応を怠ったなどとして従業員らから損害賠償を求められた場合、賠償金や裁判のための弁護士費用などを賄うしくみで、大手損保を中心に販売されている。企業が任意で入る労働災害総合保険(政府労災の上乗せ保険)の使用者賠償責任保険に、特約で付ける形が主流だ。
パワハラやセクハラのほか、妊娠・出産に付随して生じる職場でのマタニティハラスメントや、職場内で言葉や態度によって嫌がらせをするモラルハラスメント、家族の介護と仕事の両立をしている従業員に対して嫌がらせをするケアハラスメントなども含めて対象にするプランもある。
日本商工会会議所、全国商工会、全国中小企業団体中央会でも、パワハラやセクハラに対して割安な保険料で備えられる「業務災害保険(プラン)」の取り扱いがあり、「雇用慣行賠償責任保険」が特約で組み込まれているため、調べてみるといいだろう。
そういえば、先日、会社勤めの同期と話す機会があった。年次的には管理職になる人も多い。「管理職の心得は?」の問いに、「とにかくハラスメントをしないこと」との答えが返ってきた。いまはそんな時代だ。
連載:ニュースから見る“保険”の風
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