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2022.05.10 12:00

「メタバースxフィットネス」で注目のゲーム企業OliveXの挑戦


OliveXは、1月の資金調達時に54億ドルの評価を受けた香港の「アニモカブランズ」からスピンアウトした企業だ。アニモカは、ブロックチェーンゲームの「クリプトキティーズ」の開発元のダッパーラボや、プレイ・トゥ・アーン型のゲームの「Axie Infinity」の開発元のSky Mavisなど、170以上のNFT関連の企業やプロジェクトに投資を行っている。

2017年にアニモカの子会社として設立されたOliveXは当初、フィットネス系のアプリやインタラクティブなミラーを開発していた。同社を率いる中国系カナダ人のランジャンは、2018年にスクワットを行うことで報酬が得られるアプリを開発したが、当時は暗号通貨が今ほど普及しておらず、事業は苦戦を強いられた。

OliveXは、2020年8月にオーストラリア証券取引所に上場した後に、アニモカからスピンオフした。同社は現在、アニモカのサンドボックスの中に、フィットネス空間を構築中で、「ダストランド」シリーズで稼いだNFTをより広い領域で流通させようとしている。このフィットネス空間には、ドイツのフィットネスアパレル会社のGym Aestheticsや英国のPlayinnovation、フィットネススタジオの運営会社のTrib3が参加する予定だ。

これらのパートナーシップを通じ、OliveXは暗号通貨の知識を持たないユーザーにも、バーチャルフィットネスの魅力を伝えようとしている。

メタバース市場は8兆ドルに拡大


世間のメタバースへの関心は、フェイスブックが昨年10月に社名を「メタ」に改めて以来急上昇し、マイクロソフトやグーグルのようなテクノロジー企業だけでなく、ナイキやディズニー、グッチといったブランドも、この分野で存在感を高めようとしている。

一部のアナリストは、すでにメタバースの市場規模を推定している。デジタル資産運用会社のグレイスケール(Grayscale)は11月のレポートで、広告やソーシャルコマース、イベントなどに広がるメタバースの市場規模が1兆ドルに達すると試算した。ゴールドマン・サックスはさらに強気で、メタバースの市場規模が8兆ドルに達する可能性があると、1月のレポートで予測した。

「人々の健康意識の高まりを受けて、フィットネス用のアプリはメタバースにおいて非常に大きな市場を作ることになる」と、OliveXに投資したEverest Ventures Groupの共同創業者でCEOのアレン・エン(Allen Ng)は述べている。

「クリプトとブロックチェーンの要素をフィットネスと組み合わせるという話を、ランジャンから聞いたとき、それは完璧に理にかなった話だと直感した。この市場のポテンシャルは巨大だが、まだ初期段階にあるため、OliveXがこの空間のリーダーになる可能性は高い」と、エンは語った。

編集=上田裕資

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