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2022.05.10 12:00

「メタバースxフィットネス」で注目のゲーム企業OliveXの挑戦

Getty Images

フィットネスを通じて健康になると同時に、報酬を得られる──。モバイルゲーム企業のOliveXは、そんな革命的なゲームを提供している。

OliveXのゲームのユーザーは、現実世界でランニングを行うことで、ミッションをクリアしてDOSEという暗号通貨のトークンとNFTを報酬として得られる。貯めた報酬は、ゲームのレベルアップに使用したり、NFTのトレードに利用できる。

NFTゲームの最大の特徴の一つが収益化が期待できる点だ。「遊んで稼ぐ」を実現するプレイ・トゥ・アーン型のゲームが既に一世を風靡しているが、OliveXの創業者でCEOのキース・ランジャン(Keith Rumjahn)は、そのコンセプトを一歩進めて、体を動かして稼ぐ「ムーブ・トゥ・アーン」型のゲームを開発した。

「当社が送り出すムーブ・トゥ・アーン型のゲームは、真のゲームチャンジャーだ。プレイヤーにとっても開発者にとっても、Win-Winな世界を実現する」と、現在37歳のランジャンは語る。

OliveXの長期的な目標は、アニモカブランズの「サンドボックス」の中にフィットネスゲームのエコシステムを構築することだ。そして、プレイヤーが他のユーザーやブランドと交流しながらゲーム内で資産を構築し、トレードを行うことを可能にする。

NFTが投資家の注目を集める中、オーストラリア証券取引所に上場するOliveXは、11月に800万豪ドル(約7.4億円)の増資を行い、3月末にリリースした新タイトル「ダストランド・ランナー(Dustland Runner)」の開発費に充当した。このゲームのプレイヤーは、砂漠の中を疾走する「ダストランナー」となり、盗賊やモンスターが生息する世界で、謎の密輸品を回収し、届けるミッションにチャレンジする。

ダストランド・ランナーは、ロンドンのゲーム開発会社Six to Startが開発した「ゾンビ・ラン!(Zombies, Run!)」をベースとしたタイトルだ。OliveXは、昨年3月にSix to Startを950万ドルで買収していた。

OliveXは現在、次のタイトルのサイクリング系ゲーム「ダストランド・ライダー(Dustland Rider)」の準備を進めている。さらに、ボクシングやボートなど、より多くのスポーツを取り入れようとしている。

10億人を健康にするNFTゲーム


「私たちの目標は、10億人の新たなユーザーをフィットネス系ゲームに取り込み、NFTや暗号通貨のトークンを獲得させることだ」と、ランジャンは語る。

暗号通貨のブームに飛び乗るOliveXは、投資家の注目を集め、現在の時価総額は1億9050万豪ドルと、ここ1年で2倍に膨らんだ。同社の昨年下半期の収益は、前年同期の10倍の130万豪ドルで、純損失は前年同期比55%減の230万豪ドルに縮小した。OliveXは、カナダの証券取引所への二重上場を視野に入れている。
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編集=上田裕資

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