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2022.05.16 18:30

おにぎり・フォー・ウクライナ 飲食関係者とウクライナ人が連帯

NARISAWAで開催された第一回「#onigiriforukraine(おにぎり・フォー・ウクライナ)」

NARISAWAで開催された第一回「#onigiriforukraine(おにぎり・フォー・ウクライナ)」

4月11日、東京・青山一丁目の駅のほど近く。一軒のレストランの前に、長い行列ができていた。ミシュラン二つ星レストラン「NARISAWA」。そこで配られていたのは、「おにぎり」だった。

民間人に多くの死者が出るなど、ウクライナでの状況が緊迫するなか、今回初めて行われたのが、1000円以上募金した人にお礼としておにぎりを渡すプロジェクト「#onigiriforukraine(おにぎり・フォー・ウクライナ)」だ。おにぎりの材料費・人件費は一切募金からは引かれず、全額がユニセフのウクライナ緊急募金に送られる。

主催者は、イノベーティブ里山キュイジーヌ「NARISAWA」のオーナーシェフ、成澤由浩さんと日本の和牛を世界に広めることをミッションにした和牛専門店「WAGYUMAFIA」のシェフ、浜田寿人さん。さらに日本全国の酒蔵12軒とワイナリー1軒が協力した。

このメンバーでウクライナ支援という形で募金を募るのは初めてだが、このプロジェクトの前身は、コロナ禍で医療者支援の取り組みとして、全国の酒蔵が地元の病院におにぎりを届けた「#onigiriforlove(おにぎり・フォー・ラブ)」というものだ。今回も、東京の病院、東京女子医大におにぎりを届け、医療者支援も継続して行った。


NARISAWAのオーナーシェフ成澤由浩さん(左)とWAGYUMAFIAのシェフ浜田寿人さん(右)

この日、早朝4時半から230キロの米を炊き始め、炊き立てのご飯でおにぎりを握った。

米は、これまでに#onigiriforloveで訪問した酒蔵が地元産の米を無償提供し、全ての米をブレンドすることで、連帯を表現。具材は国内のトップ生産者が協力し、NARISAWAは、静岡の「サスエ前田魚店」と富山の「釣屋魚問屋」から届いた鯛の炭焼き、WAGYUMAFIAは宮崎県のブランド和牛「尾崎牛」で作った時雨煮を用意。2種のおにぎりをセットで提供した。

プロジェクトには、レストランスタッフと全国から駆けつけた酒蔵の代表者に加え、日本在住のウクライナ人、軍事侵攻を受けて避難してきたウクライナ人親子など、計50人が参加した。

約100万人の登録者を持つ在日ウクライナ人兄弟のユーチューバー「サワヤン」も事前の告知でファンに呼びかけを行い、朝からおにぎりを作成。兄のサワさんは4歳で来日、弟のヤンさんは日本生まれで、日本で教育を受けた。仕事の関係で日本とキーウの家を往復していた50代の父は、今、母国を守るために戦っている。



2人は父親について、「年内まで一緒に住んでいたが、キーウ滞在中に侵攻があり、そのまま残った。愛国心の強い人なので、もし日本にいたとしてもウクライナに戻って戦ったのではないか」と口を揃える。母国ウクライナのために、自分たちもできることをと、3時間以上にわたってファン一人ひとりにおにぎりを手渡し、交流をはかった。
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文・写真=仲山今日子

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