ライフスタイル

2022.05.17 08:30

なぜ今ウェルビーイングなのか? 「経済成長=幸福」の限界とは

Getty Images

毎年恒例となった「世界の幸福度ランキング」は、今年で10周年を迎えました。発表されるのは、3月20日の「国際幸福デー」(International Day of Happiness)。2012年の国連総会で決議され、2013年から世界で祝われるようになった記念日です。

国際幸福デーは、幸福が世界中の人々の共通目標かつ願いであることを認め、すべての人の幸福とウェルビーイングを推進するため、貧困のない、公平で持続可能な経済成長の必要性について考える日。幸福度ランキングは、その日に国連が発表する「世界幸福度報告」の一種で、150以上の国・地域に住む人々から社会的支援の充実度や人生の自由度などを集計し、「総合幸福度」「健康寿命」などを数値化したものです。

2022年のランキングではフィンランドが首位で、2位にデンマーク、3位 アイスランド、4位 スイス、5位 オランダと上位をヨーロッパの国が独占。日本は昨年の56位より2つランクアップし54位でしたが、G7加盟国の中では最下位です。

経済成長=幸福だった頃


日本が一番幸せだった時代はいつだったか? という問いに対して恐らく50代以上の人の多くは、日本中が空前の好景気に沸いた1986年(昭和61年)末から1991年(平成3年)頭までのバブル時代と答えるのではないでしょうか。

ランキングが始まったのが2013年なので推測することしか出来ませんが、もしこの時代に同じ調査が行われていたら、日本は今よりかなり上位にいた可能性はあります。

バブル景気は1985年の「プラザ合意」後の円高により日銀が徹底した低金利政策をとった結果の「カネ余り」から始まり、日経平均株価は1989年12月29日に38915円の史上最高値を記録。世の中の余った資金の多くは不動産市場に向かったことで地価高騰が起き、次第に投機目的の短期的な売買が増えて、世の中の景気はまさに泡(バブル)のように膨らんでいきました。

また、その資金は国内のみならずジャパンマネーとして世界を席巻し、好景気によって潤沢な資金を得た日本企業が、多くの海外企業や不動産を買収。戦後の復興から高度成長期を経て日本が世界のリーダーになるということが本当に実現できるのではないかと思えるほどの勢いでした。


Getty Images

高級マンションは売り出し日に即日完売、高級外車は納車まで半年待ち、高額のゴルフ会員権の価格は高騰し続けました。若いカップルは誕生日やクリスマスなどの記念日に港区の高級ホテルでデートをし、グッチやティファニーなどの高級ブランドのバッグやアクセサリーをプレゼントするのが当たり前の時代でした。
次ページ > 幸せのあり方を問う時代に

文=藤田康人

タグ:

連載

「ウェルビーイング」の実践

ForbesBrandVoice

人気記事