新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、私たち個人レベルでもウェルビーイングを考えるきっかけになりました。
コロナにより、私たちの生活や価値観は大きく変わりました。健康や命の大切さと向き合う時間が増え、自分が生きる意味や働く意味について改めて考えた人も多いでしょう。人と直接会うことが難しくなり、リアルのつながりの大切さを感じた人も、家族や仲間の存在の価値に気づいた人もいるでしょう。
これまで残業や社内外の会食で、平日に家族と食卓を囲むことがまれだったビジネスパーソンがステイホームにより家で食事をするようになりました。時には妻や子供とキッチンに立つことで、家族との新しい関係が出来たという声も多く聞きます。リモートワークの普及で通勤がなくなり、毎朝のジョギングやペットとの散歩が日課となった人もいるでしょう。
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コロナ禍での新しい生活は、自分にとっての幸せとは何かを改めて考えるきっかけとなりました。
ウェルビーイングは、心理学などの学術研究に端を発していますが、特にこの数年で幅広く浸透し、企業においては、その存在意義や提供価値など、“パーパス”とよばれるものと関係する経営全般のアジェンダとしてとらえられてきています。商品やサービスを通じて消費者やユーザーがどのような幸せを実現出来るのか、そのためにどのように顧客との関係を創っていくか、根幹が考え直されています。
近年のテクノロジーの進化、あるいは直近のDXが産業構造に劇的な変化を起こしていますが、ウェルビーイングもまた、顧客の求める新しいサービスや新市場を作り出す上で欠かせない要素として存在感を増しています。